東京国立近代美術館所蔵作品展

「生々流転」に続いて、平成18年度第4回所蔵作品展を観る。4階に上がると、エレベータホールで出迎えてくれたのは、新海竹太郎「ゆあみ」(1907)だ。私の好きな彫刻なのだが、裸婦像を眺めると、娘たちが胡散臭げに私を見るのはやめてもらいたいものだ。

続いて、荻原守衛「文覚」(1908)・「女」(1910)、高村光太郎「手」(1918)、中原悌二郎「若きカフカス人」(1919)などの近代日本彫刻を代表する作品が居並ぶ。荻原守衛の代表作の一つである「女」も好きな作品なのだが、娘たちの冷たい視線を感じる。ええい、鑑賞の邪魔だ。

絵画・版画では、岸田劉生「自画像」(1913)・「B.L.の肖像」(1913)・「五福祥集*1」(1928)、中村彝「エロシェンコ氏の像」(1920:重要文化財)、坂本繁二郎「水より上がる馬」(1937)、速見御舟「夜梅」(1930)*2棟方志功「ニ菩薩釈迦十大弟子」(1940)、川端龍子金閣炎上」(1950)、東山魁夷「たにま」(1953)・「白夜光」(1965)等々の傑作が次々と現れる。「ニ菩薩釈迦十大弟子」「金閣炎上」は、昨年8月に鹿児島の中村晋也美術館で観た「釈迦十大弟子」(2003)や、つい先日拝観したばかりの金閣寺などの旅の想い出と重なった。

米国から「永久貸与」中の戦争記録画では、茨木衫風「潜水艦の出撃」(1942)と田上隼雄「古賀提督像」(1944)が展示されていた、前者は、南十字星綺煌く南太平洋の怒涛の中を進む帝国海軍潜水艦3隻を描いたもので、映画「Uボート」の嵐の場面を想起させる迫力だ。

近代日本美術を十分堪能した後、車で「グランドアーク半蔵門」に移動し、遅い昼食にする。

*1:奇怪な人物が壺に蝙蝠を呼び寄せる不思議な絵だ。「福」は「蝠」のことで、中国画のモチーフの一つのようだが、どういう故事来歴なのかはよくわからない。

*2:新収蔵品の初公開とのことだ。ネガのような黒い月が印象的な絵だ。