リニアモーターカー

そのまま空港へ行ってもよかったのだが、途中の龍陽路駅で車を降り、話(Blog)の種に、上海自慢のリニアモーターカー「上海磁浮列車」に乗ることにする。高架の駅舎の端に軌道が突き出ているが、驚くべきことに、車輌止めがない。もし磁浮列車がオーバーランしたら、車輌はそのまま地面に落下することであろう。

窓口で空港までの片道切符50元を買う。改札は、自動化されている。エスカレータでホームへ上がると、すでにリニアモーターカーが入線していた。装飾性や意匠性の乏しい車輌だ。乗車してから、最後部まで行ってみる。運転室内を覗いてみると、運転席と言うよりは、オフィス什器といった雰囲気だ。運転席の横に、普通の椅子と何故かファンヒータが置いてあるのがご愛嬌だった。

15:20発車。15:21:30時速200km/h、15:22:14同300km/h *1。ここから先は、地上交通手段としては未体験の領域だ。15:23:00同400km/h、15:23:18同430km/h。発車から3分18秒で営業最高速度に到達した。車窓の景色は、まさに「スピード、スピード、窓の外。畑も飛ぶ飛ぶ、家も飛ぶ。」という感じである。

やがて減速を始め、15:27:30に上海浦東国際机場駅に到着した。鉄道に乗ったというよりは、「リニアモーターカー・ライド」のアトラクションに乗ったような呆気なさであった。最高速度は430km/hとは言え、平均時速にすれば240km/h(=30km/0.125h)だ。500系のぞみの山陽新幹線内での平均時速が約232km/h(=553.7km/2.383h)だから、いい勝負と言えるだろう。むしろ、7分半の「瞬間芸」と2時間以上にわたる走行が比較になるのだから、JR西日本の健闘は賞賛されてよい。しかし、上海では2004年から営業が始まっているというのに、JR東海は、山梨の山奥で実験を延々と繰り返し、時速500km/hを記録したとは言え、営業運転開始の目途も立っていないというのは、いかがなものか。

*1:JR西日本500系のぞみの営業最高速度300km/hが鉄車輪・鉄軌道方式の鉄道としては世界最速である。