ハイティンクのブルックナー

夜、NHKのBSHiでアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会の実況生中継を観ました。前半は見逃したので、後半のブルックナー第9交響曲だけです。指揮はベルナルト・ハイティンク。第1楽章は、指揮解釈のせいか、録音のせいか*1金管の盛り上がりが今一つの感がありました。私は、この曲は、ブルックナー最期の交響曲とは言え、明るく壮麗に演奏してもらいたいと思っています*2。しかし、躍動感に溢れる第2楽章から、終楽章に至って、深々とした弦と管の響きに感銘を受けました。演奏会場に居合わせたら、舞台上に神の降臨を感じたかもしれないと思わせるような演奏です。こういう演奏を聴くと、残念ながら、やはり中欧のオーケストラでないと、本格的なブルックナー演奏はできないのか、と思ってしまいます*3

これまで、中庸の美学を守ってきたハイティンクは、見事に円熟したことを感じさせました。80歳の誕生日を迎えたばかりとは思えない若々しく円満な表情が印象的でした。
ブルックナー:交響曲第9番 ブルックナー:交響曲第9番 ブルックナー:交響曲第9番

*1:オーケストラの中にスタンドマイクは立てず、吊りマイクだけで収録していたようです。

*2:従って、私のお気に入りの演奏は、ジュリーニのヴィーン・フィル盤、シカゴ響盤、ショルティ盤といったところです。

*3:ドイツ人は、「ドイツ人でなければブルックナーは理解できない。」と言うそうです。そうかもしれません。私も、文楽の描く主従や親子の義理の世界は、欧米人には絶対理解できまい、と思いますから。