宗廟(世界遺産)

続いて、市廳駅から地下鉄2号線に乗り、2駅先の鐘路3街駅まで行く。目的地は、宗廟。朝鮮王朝代々の王様とお妃様の位牌を祭ってある霊廟である。世界遺産に指定されている韓国の国宝だ。緑の多い敷地内は、霊廟だけあって、静謐な雰囲気が漂っている。正殿は、位牌を祭ってある太室が横に19室並び、韓国で最も長い建造物なのだそうだ。朱色の柱が立ち並ぶ様は壮観だ。超広角レンズを使わないと、正面から全景を撮影するのは無理だろう。位牌を収容し切れなくなって増設したという永寧殿も、16室が並び、これも十分立派な建物だ。なお、これらの霊廟は、1592年の文禄の役(壬申倭乱)で焼失し*1、1608年に再建されたという。

裏門から出ると、そのまま北隣の昌慶宮に入る。去年訪れた世界遺産の昌徳宮と隣接している。ここも王宮の一つで、多くの建物が1834年の再建だが、正殿の明政殿は、1616年以来焼失を免れ、朝鮮王宮の中で最も古い建物だということだ。松の木に囲まれた木造建築の数々は、日本の建築文化に通ずるものを感じさせた。これで、ソウルの主要な王宮はあらかた見たことになる。正面の弘化門から出て、タクシーを拾う。

*1:ソウルの宮殿のほとんどは、文禄の役で焼失したという。秀吉軍が焼き払ったのかと肩身の狭い思いをしたのだが、帰国後調べてみると、秀吉軍が入城した際、ソウルは火の海だったという。退却する朝鮮軍または朝鮮民衆が火を放ったようだ。確かに、看板の説明文を写真で再確認してみると、いずれも「壬申倭乱で焼失」とは書いてあるが、「倭軍が放火」とは書かれていない。とは言え、誤解を招く表記は避けてもらいたいものだ。