野毛山動物園

武蔵小杉で東急東横線に乗り換え、横浜で京浜急行に乗り換える。横浜から2つめの日ノ出町で下車し、野毛山公園の中を登っていくと、高台の上に横浜市立野毛山動物園があった。ズーラシアが分園していった母体の動物園である。何と無料で営業している。横浜市も豪気なことである。ただし、園内には、飲食施設やギフトショップの類は一切ない。飲料の自動販売機があるだけなので、園内でピクニックをしたければ、弁当を持参するしかない。

園内マップの番号順に動物を見ていく。ズーラシアではせわしなく歩き回っていたレッサーパンダは、木の上に登って降りてこようとしなかった。ライオン、トラ、ジャガーなどのネコ科の猛獣は、いずれもイエネコのようなだらしない格好で惰眠を貪っている。動物の活動を見たければ、朝か夕方に来た方がいいだろう。先日拙宅の近所に現れたハクビシンは、数頭固まってじっとしていた。アナグマとタヌキは、やはり昼寝中。

園を半周したところにある「なかよし広場」では、ハツカネズミ、モルモット(テンジクネズミ)、ヒヨコを子供に自由に触らせている。学校の飼育で小動物に慣れている次女は、いずれもひょいと捕まえて抱きかかえる。ヒヨコなどは、次女の腕の中で目をつぶって寝入ってしまった。次女は「かわいい。飼いたいな。」と言うが、かわいいのは、ほんのいっときで、瞬く間にただのニワトリに成長し、毎朝「コケコッコー!」と絶叫するようになることが身に染みた人も多いに違いない。

ツキノワグマの水浴びや仔キリンがペットボトル大の哺乳瓶からミルクをゴキュゴキュ飲む授乳風景を見た後、園を後にする。規模は小さいものの、大型獣も揃えた立派な動物園だった。ただし、ライオンやトラのような肉食獣も狭い檻に入れる昔ながらの展示方法だ。広い運動場を猛獣が徘徊する様を見たければ、ズーラシア多摩動物公園に行った方がいいだろう。