LACMA常設展

クリムト特別展を鑑賞した後、LACMAの常設展を観る。クリムト展会場の隣がアメリカ・ギャラリーだった。メアリー・カサットの「眠い子供を入浴させようとする母親」(1880)、ジョン・シンガー・サージェントの「エドワード・L・デイヴィス夫人と息子リヴィングストン・デイヴィスの肖像」(1890)、ウィンスロウ・ホーマーの「水面の月光」(1906)が展示してあった。カサットはLACMAコレクションの代表作の一つだろう。カサットらしい穏やかな母性愛が伝わってくる絵だ。サージェントは、縦2m以上もある大作だった。彼の描く人物は、いずれも気高い。私は、サージェントの気品ある作風を好む。ホーマーは、晩年の作品だが、大胆な白で水面に反映する月光を表現している。

これらのほかにも、ホーマーの「綿摘み」(1876)、サージェントの「フランソワ・ビュローズ夫人」(1878)、私が密かに「アメリカのコロー」と呼んでいるジョージ・インネスの「10月」(1886)などの佳品があった。私は、バルビソン派や印象派の影響を受けたアメリカ絵画が大好きなのである。

アメリカ・ギャラリーを観終った後、アーマンソン・ビルディングとハマー・ビルディングのコレクションを観て回る。アメリカ人の好きなフランス印象派を始めとして、古代エジプト、インド、東アジアの骨董・美術品、中世から近代に至るヨーロッパ絵画等の夥しい数のコレクションである。コレクションの質も高いうえ、展示方法にも工夫が凝らされている。不覚にも、LACMAがこんなに立派な美術館だとは知らなかった。アメリカの凄いところは、ちょっとした都会には必ず立派な美術館があり、そのいずれもが、日本の国立博物館国立西洋美術館、国立近代美術館を足し合わせたくらいの規模があるということだ*1

残念ながら、日本美術館を回る時間がなかった。次の機会にしよう。LACMAの前に停まっていたタクシーをつかまえて、3時頃ホテルに戻る。夕方から早速仕事である。

*1:メトロポリタンは言うに及ばず、ボストン、シカゴ、フィラデルフィア、ナショナル・ギャラリー、スミソニアンは、質量ともに圧倒的だ。そのほかにも、ボルティモアアトランタクリーヴランドデトロイト、ダラスのコレクションも優れたものだ。これらが、篤志家の寄付によって成り立っていることもアメリカらしい。