「チャーリーとチョコレート工場」と「ツァラトゥストラ」

映画「チャーリーとチョコレート工場」にシュトラウス交響詩ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭「日の出」が用いられている。チョコレートが映画「2001年宇宙の旅」のモノリスのように扱われるパロディ場面の背景に流れる。エンドクレジットには、デッカ原盤のカラヤン指揮ヴィーン・フィルの演奏と表示されている。ということは、カラヤン最初の「ツァラトゥストラ」である1959年盤*1だ。他方、本家の「2001年」の「日の出」は、世上、ベーム指揮ベルリン・フィルの演奏とされているが*2、調べてみると、正しくは、このカラヤンの1959年盤のようだ。「ツァラトゥストラ」の録音は無数にあるから、偶然同じ音源を使ったとは考えにくい。おそらく、「チョコレート工場」の音楽担当者は、「2001年」の「日の出」がカラヤンの1959年盤であることをを知っていて、オマージュの意味を込めて同じ音源を採用したのだろう。
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」OP.30

*1:カラヤンは、1959年、1973年、1983年、1987年(演奏会実況録画)の4種の「ツァラトゥストラ」の正規録音を遺している。1959年盤は、デッカの名プロデューサ、ジョン・カルショウとカラヤンの初仕事だったようだ。

*2:最初に出たサントラ盤に、映画では使用されていないベーム指揮ベルリン・フィルの演奏が収録されていたため、この誤解が生じたようだ。