エミール・ガレ展

赤坂見附の交差点まで行くと、サントリー美術館の「エミール・ガレ展」の看板が目に入った。時間つぶしにちょうどよい、とばかり入館する。今年は没後100年とか。開館直後なので、空いている。花器が中心で、ランプは美術館収蔵品の「ひとよ茸ランプ」1点だけだったが、初期の作品やガレには珍しい陶器も展示されていて興味深かった。花器には、ギーガーにインスピレーションを与えたであろうようなグロテスクな作品もあった。ガレの作品では「ホップ文マグ」、彼以外の作品では、デプレの「眠れる子」が印象に残った。

赤坂プリンスの桜はまだ早いようだったので、弁慶堀に沿って坂を上っていく。長女が3歳の頃、二人でボートに乗ったっけ(彼女はまったく記憶にないそうだ)。上りつめたところで交差点名を見て、あっと驚いた。紀伊国坂である。小泉八雲の「怪談」に収められている「むじな」の舞台となったところだ。昔、娘たちを寝かしつけるとき、この話を思い切り引き伸ばしてだらだら話していると、のっぺらぼうが出てくる前に娘か私のどちらかが寝てしまったものだ。屋台の蕎麦屋が提灯を点して佇んでいたのは、このあたりであったか。喰違見附から四谷見附まで、お壕端の土手を歩く。ここの桜も、まだ満開ではないようだ。四谷から中央線に乗ってオフィスに向かう。ここで、いったんログアウトだ。
ISBN:4042120016