テンシュテットのマーラー第4

第1・5・6・7・8番と立て続けに買ったテンシュテットマーラー演奏のCD・DVDの締め括りとして、南西ドイツ放送交響楽団を指揮した第4をHMVで取り寄せました。1976年8月25日の演奏会実況録音です。清澄で穏やかな演奏は、この曲の一般的なイメージに合致していると思いますが、私にはちょっと物足りなく思えました。第3楽章のコーダをどう演奏するかが私にとっての決め手になっているのですが、ごく一般的な解釈でした*1。もちろん、この曲の演奏としては、立派な部類です。第4楽章や「角笛」抜粋の独唱者エヴァ・チャポも、いい声です。

これで、正規盤で発売されているテンシュテットの演奏会実況録音によるマーラーをすべて聴いたことになります。やはり、第5・6・7・8番が傑出しており、中でも第7と第8に深い感銘を受けました。残る第2・3・9・10番は、演奏会の放送録音が存在し*2、中には海賊盤として市場に出回っているものもありますが、これらが正規盤として登場するのを辛抱強く待つことにしましょう。

*1:今のところ、私の理想に最も近いのは、マゼール指揮ベルリン放送交響楽団の演奏です。第3楽章コーダで、音楽が頂点に達する前に脆くも崩壊していく様が、まさに「天国の門が開かれたと確信したのも束の間、それも幻影に過ぎなかったことを悟って、苦い悔悟の念に沈潜していく。そして第4楽章では、ただ天上への憧れを歌うのみ。」という私の(勝手な)解釈に合っています。

*2:大地の歌」は、演奏会では1回しか採り上げておらず、EMIのスタジオ録音が唯一の録音のようです。