「国宝 薬師寺展」 仏様の後ろ姿

東京国立博物館で開催中の「国宝 薬師寺展」に家族で行こうと思っていたのですが、長女が学校の課外活動で行くことになり、朝早く出かけていきました。残された妻・次女・私も遅れをとってはならじと、昼過ぎに出かけました。上野で遅い昼食をとり、15時過ぎに東京国立博物館に到着すると、平成館の前に60分待ちの行列ができていました。小雨の降る中を並ぶこと45分ほどで入館できました。

第1会場では、何と言っても、「聖観音菩薩立像」(7-8C)、「日光菩薩立像」(同)、「月光菩薩立像」(同)の3駆の国宝仏が圧巻です。いずれも、舟形光背を外されているので、360度から拝むことができます。3駆とも、後ろ姿まで入念に再現されています。光背を背負ってしまえば見えなくなってしまうところまで、丹念に造り込んだ仏師の執念を感じさせます。

特に、「聖観音菩薩立像」は、前面と同じくらい克明に、裙の襞や、垂飾を表現しています。ほぼ垂直に屹立し、どちらかというと様式的・静的な像なのですが、全身に纏う帯は、緩やかな曲線を描き、リズミカルな動きを与えています。昨夏、薬師寺で拝観したときは、それほど感銘を受けませんでしたが、こうやって改めて拝むと、美しい仏様です。

日光菩薩立像」「月光菩薩立像」は、像高が3m以上もあり、188.5cmの「聖観音菩薩立像」に比べると、堂々とした体躯です。須弥座に乗った「薬師如来坐像」の脇侍として立っているときにはあまり大きさを感じませんでしたから、不思議なものです。人性を超越した表情とも相俟って、威風あたりを払う、といった感じでした。

第2会場では、「慈恩大師像」(11C)と「吉祥天像」(8C)の国宝の画像が目玉となっています。しかし、前者は、可哀相なくらい人気がなく、後者は、「え、こんなに小さかったの。」と思うくらいの大きさ*1でした。照明も落としてあり、じっくり鑑賞するという環境ではありませんでした。

*1:53.0*31.7cm