ハーディングとノリントンのブラームス

夜、NHK・BS2でマーラー・チェンバー・オーケストラの演奏会実況録画を放送していた。指揮は、ダニエル・ハーディング、10月5日、NHK音楽祭の公演だ。ちょうど、ブラームスの第2交響曲が始まったが、ふやけたヘチマのような空疎・軟弱な演奏で聴くに耐えない。こんな演奏しかできないのであれば、わざわざブラームスを採り上げる必要もなかろう。この曲には、重厚さと暖かさの両立・均衡が求められ、けっこう難しいのだ*1。アンコールにドヴォルザークのスラヴ舞曲を持ってくるセンスもいかがなものかと思う。


この音楽祭の案内を見たら、11月の公演は、ロジャー・ノリントンが指揮するようだ。この指揮者のブラームスには、不愉快な思い出がある。1992年7月、小澤征爾を聴きにわざわざタングルウッドまで出かけたら、スキーによる怪我か何かでドタキャン。急場しのぎの代役に立ったのが、前半がレオン・フライシャー、後半がノリントンだった。ノリントンブラームスの第1交響曲を指揮したのだが、このときの演奏は、現在に至るまで、私が聴いたあらゆる西洋クラシック音楽演奏の中で最低最悪の座を堅持している。この曲から「チャンチャカチャン」といった軽佻浮薄な響きを聞くことになると誰が予想できようか。マサチューセッツ州のど田舎まで無駄足を運ばされたことを思い出すと、今でもムカムカする。
ブラームス:交響曲第2番 ブラームス:交響曲全集 ブラームス:交響曲第2&3番

*1:私見では、この条件を満たしているのは、ジュリーニ(1980年ロス・フィル盤、1991年ヴィーン・フィル盤いずれもすばらしい)とバルビローリ(1966年ヴィーン・フィル盤)である。