鉄塔武蔵野線

昨日、amazonから届いた映画「鉄塔武蔵野線」のDVDを観る。原作の淡々とした雰囲気をよく伝えている。映画的なカタルシスはほとんどなく、ほとんど環境ビデオのような素っ気なさだ。灼きつける日差し、カルキくさいプール、乾いた砂埃、むせるような草いきれ、ざわざわとした蝉時雨・・・。これを観れば、少年時代のいくつかの夏のうちのひとつに確実に戻ることができるだろう。鉄塔ファンだけでなく(これだと、たかだか50万人くらいか)、かつて少年だったすべての人(これなら50百万人だ)に一見をお勧めしたい。

最後の20分は、原作とまったく異なる。あまりに切なくほろ苦いが、突然、荒唐無稽なSFになってしまう原作よりは、ずっと好感が持てる。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20040428

原作や本作のモチーフである東京電力武蔵野線は、映画の完成後、若番(上流)から、赤坂武蔵線、武蔵野連絡線、武蔵野線の3線路に分割・運用されている。旧武蔵野線の今の系統は以下の通りである。
[中東京変電所]-+-+-+-【武蔵赤坂線1:45号(旧武蔵野線1:44-1号)】-+-+-+-[武蔵赤坂開閉所]-+-+-+-【武蔵野連絡線1:26号(旧武蔵野線45:68-2号)】-+-+-+-[新座変電所]-+-+-+-【武蔵野線1:17号(旧武蔵野線68-3:81号)】-+-+-+-[武蔵野変電所]
映画に出てくる鉄塔の番号札は、東京電力が使用しているものとは異なるので、おそらくプロップだろう。

この映画のおかげで、妻の鉄塔に対する理解は、「鉄塔追跡がロマンであることは認めるわ。」と長足の進歩を遂げた。家族で自転車に乗って、鉄塔追跡をする日も近い。
鉄塔武蔵野線 [DVD]