丹沢大山登山

今日は、家族で丹沢の大山に登る日だ。我が家の休日には珍しく、8時40分頃、家を出る。全員、新調のトレッキングシューズで足を固めている。

登戸で小田急線に乗り換える。「丹沢・大山フリーパス」を買う。本厚木・渋沢間の小田急線と各駅・丹沢山麓間のバスが乗降自由という丹沢山行にはうってつけの周遊券である。伊勢原で下車し、バスに乗り換える。予想通り、大山ケーブル駅行きのバス停は長蛇の列で、10時5分発の始発バスに乗車はできたが、当然座れない。しかし、乗車時間はそれほど長くなく、10時半前には大山ケーブル駅に到着した。

土産物屋が軒を連ねる参道を登っていく。ケーブルカーの駅はこれまた長蛇の列。我々はそれを横目に、女坂を登っていく。途中の大山寺で登山の安全を祈願する。女坂とは言いながら、尾根の中腹を急登していく。1時間ほどで阿夫利神社下社に到着。娘たちは、茶屋でかき氷を食べて人心地を取り戻したようだ。うっすらと江ノ島が見える。

下社でも登山安全祈願をした後、大山山頂を目指す。いきなり急な石段で前途の多難を思わせる。登山道の脇に1丁目から順番に石碑が建っている。28丁目が山頂である。美しい杉林の中を登っていく。歩幅の短い次女と付き添いの妻が遅れがちになり、石碑ごとに追いつくのを待つ。登りながら、長女に登山のルール*1や注意点を教えていく。途中、「夫婦杉」という名の幹が大きく二つに分かれた杉の巨木がある。しかし、一方はさらに複数の幹に分かれており、長女は一言、「こりゃ一夫多妻杉だね。」

1時間ほどで16丁目に到着。ようやく尾根筋に出る。東京方面から望む大山の稜線となっている尾根である。ここで昼食にする。バーナーとコッフェルで湯を沸かして、熱いスープを飲む。汗が引いて肌寒くなってきたのでちょうどよい。

お腹がいっぱいになり、荷物が軽くなったところで出発。尾根道なので、少し楽になる。25丁目で後ほど下山するイタツミ尾根が合流する。残念ながら、富士山の方面は霞んで見えない。ほどなく28丁目、山頂である。標高1251.7mの山頂には、阿夫利神社上社が鎮座している。無事登頂できたことのお礼と下山の安全祈願をする。最高地点は、神域になっていて立ち入れない。山頂からの景色は、東から南東方向が開けている。辛うじて肉眼でみなとみらいが見えたのみで、東京方面は霞の中だった。相模湾相模川の河口付近が確認できただけで、あとは空に溶け込んでしまっている。しかし、東京のどこからでもはっきり遠望できるこの頂に立つのは、私のちょっとした夢だったので、本望である*2

15時前に下山を開始する。始めは石でがらがらした下り道なので、慎重に降りていく。25丁目でヤビツ峠方面へイタツミ尾根を下る。浮石はあまりないが、丸太の階段で急斜面を降りていく。膝が笑い始める。15時半頃、ヤビツ峠に降り立った。バス停にちょうど秦野駅行きのバスが入ってきたところだったが、ここも長蛇の列だったので、予定通り、蓑毛に降りることにする。こちらは、尾根の中腹の杉林を緩やかに巻いていく平坦な道なので、歩きやすい。ウグイスが囀り、ヤマブキの黄色い花が咲いて長閑な雰囲気だが、ところどころ、涸沢や木道を渡り、ちょっと緊張する場面もある。やがて春岳沢の水音が近くなり、16時半頃、蓑毛の集落に到着した。ちょうど16時30分発の秦野行きのバスが出発するところだったので、飛び乗る。16時50分頃、秦野駅に到着。コンビニで買ったビールがうまかったことは言うまでもない。

17時6分発の急行新宿行きに乗る。幸い座ることのできた娘たちは、間もなく寝入ってしまった。やはり疲れたのだろう。しかし、二人ともよく頑張った。この調子であれば、丹沢の表尾根縦走や主脈縦走もできるだろうし、もう少し高い山にも連れていけるだろう。ようやく家族で登山ができるようになった。

登戸で下車し、駅前のビルに新しく開業したイタリア料理屋「ポルタモンターレ」で夕食をとっていくことにする。暮れなずむ多摩川の鉄橋を小田急線の電車が行き交う様を眺めながら、山行の打ち上げである。ここの食事はおいしかった。「ヒッコリーファーム」に強力なライバル登場だ。

20時頃帰宅。久しぶりの本格的な登山だったので、腿が痛い。明日は後遺症に苦しむことになるだろう。

*1:ケーブルカーでアクセスできるせいもあるのだろうが、登り優先のルールを守らない登山客が多いのには閉口した。また、石を蹴り下ろしている小学生がいたので、厳しく注意した。

*2:私は、丹沢山系は、高校2年生の夏に塔ノ岳-丹沢山-蛭ケ岳-焼山の主脈縦走をしたのと、社会人になってから大室山に登ったきりである。しかし、これで、東京から見える丹沢山塊の左端(大山)から右端(大室山)まで制覇したことになる。