Wilm2006-03-14

晴れ

冬晴れのような朝だ。雲取山まではっきり見える。

会社の先輩と呑んでいるうちに、彼が911の生存者であることがわかった。曰く、

  • 2001年9月11日の朝、ワールドトレードセンター北棟4x階のオフィスで執務していると、突然、ビル全体に衝撃が走り、机が1mほど移動した。
  • 窓の外を火のついた破片が次々と落下していったので、これはきっと小型飛行機かヘリコプターが上層階に衝突したに違いないと思った。
  • ニューヨーク市警勤務のアメリカ人従業員が率先して避難誘導した。
  • 非常階段で避難を始めてからビル外に退避するまで1時間20分かかった。非常階段は2本しかなく、しかも幅が狭かったため、下層階から避難者が流入するにつれ、動かなくなった。
  • 上層階から全身火傷を負った人が降りてきて、これはただごとではないと感じた。
  • 25階あたりまで降りたところで、重装備の消防隊員が登ってきた。そのとき、なぜか助かったと思った。彼らの多くは、その後殉職した。
  • ビル外へ退避した後、自分のいた北棟を見上げると、最上階付近で煙と炎が上がっており、ああ、このオフィスはもうだめだなと思った。
  • その直後、南棟が崩壊し、全身真っ白になった。続いて自分のオフィスのあった北棟も崩壊し、九死に一生を得た。
  • もし、出勤の電車が1本遅ければ、エレベータの中で被災しただろう。北棟のエレベータの多くが墜落し、多数の犠牲者を出したと聞く。
  • 幸い、事件当日は死者を見ることはなかったが、後日、911の写真集を書店で見て、そのあまりの悲惨さに金縛りになった。

話を伺っているうち、事件の約2年後、2003年7月にニューヨークに出張した折、グランドゼロを訪ねたときの記憶が蘇った。巨大な空虚となった跡地を見て慄然としたものだ。