のどかな千倉

千倉の「Bird Land」で朝を迎える。カーテンを開けると、天気晴朗なれど浪高し、という天気だ。朝食後、今日の午前中は、「Bird Land」でのんびり過ごすことにする。娘たちは、ロフトで人生ゲーム、妻はサンルームで日向ぼっこをしながら読書、私はその横でブログ書き、と思い思いに過ごす。iMacが自由に使えるので、ネットで調べ物をしながら書くことができて助かる。こういうゆったりした時間の過ごし方ができる居心地のよさが「Bird Land」の魅力だ。

昼過ぎに散歩がてら、屏風岩の近くの海岸まで下りていく。冬の磯は、水が透明できれいだが、魚影はなかった。沖を漁船や貨物船がゆっくり行き交っている。

近くのレストラン「café flottant」に行く。ピクチャーウィンドウに屏風岩の景色が広がる。娘たちお気に入りのミンク鯨のカルパッチョを前菜に、パスタを食べる。ここのバジルパスタはなかなかの味だ。

食後、「Bird Land」に戻って、車を出す。最初の目的地は、白浜鍾乳洞だ。ガイドブックやパンフレットの類には記述がないが、地図で発見したのである。場所がよくわからないので、妻が食料品店のおばさんに道を尋ねる。「わざわざ行くようなところじゃないんだけどねえ。」と言われたそうだ。教わった通りの道を登っていくと、行き止まりの手前に「県指定天然記念物 白浜の鍾乳洞」と書かれた白い杭が立っていた。車を置いて、小道に分け入っていくと、奥行5m、高さ1.6mという慎ましい鍾乳洞が口を開けて待っていた。ただし、入口は柵で塞がれており、中には入れない。「白浜の鍾乳洞」という案内板がなければ、防空壕の跡か何かだと思ったことだろう*1石灰岩の侵食によるふつうの鍾乳洞と違って、泥岩層に堆積した貝のカルシウムにより形成されたもののようだ。洞内に不動明王の石仏が鎮座している。鍾乳洞の横には、ちょっとした滝が懸かっていた。苦労して車をUターンさせる。我々のような酔狂でない限り、「わざわざ行くようなところ」ではないかもしれない。

房総フラワーラインを走り、平砂浦海岸へ行く。我々お気に入りの場所だ。松の砂防林を抜けると、広々とした砂浜が広がっている。雲が増えてきたが、大島が水平線に横たわっている。その左に、三角おむすびのような利島、巨大な航空母艦のような新島が見える。あいにく富士山や天城山は雲の中だった。娘たちは貝殻拾いに夢中になる。夕方になって風もおさまり、のたりのたりと打ち寄せる波を眺めていると、心の中の何かが解けていくような快感がある。

車に戻り、「Bird Land」へ帰る。夕食後、私は寝てしまった。妻子は人生ゲームをしたり、ビデオを観たりして、「Bird Land」の夜を満喫したようだ。妻子が寝る頃になって目が覚め、ひとりで風呂に入る。テラスに出てみると、満天の星だった。明日も晴れるだろう。

*1:実際、おばさんの話によると、太平洋戦争中に防空壕として使用されたため、鍾乳石や石筍が破壊されたのだそうだ。