フィリップス・コクション展

家族で六本木ヒルズへ「フィリップス・コクション展」を観にいく。私は、1991年の5〜7月にワシントンD.C.のデュポン・サークルの近くに滞在しており、フィリップス・コクションは歩いて10分ほどの距離だった。滞在中2回訪問したのを覚えている。小規模ながら、極めて質の高いコレクションだった。

この展覧会は、コレクションの中から印象派を中心に60点の絵画・彫刻をもってきたものだ。マスターピースと呼ぶべきルノワールの「舟遊びの昼食」はもちろんのこと、コロークールベモネ、マネ、セザンヌドガゴッホ、ボナール等々、いずれも逸品ぞろいで、蒐集家の確かな鑑識眼を窺わせる。惜しむらくは、この美術館の優れたホッパーのコレクションが1点も来ていないことだが、去年、ロンドンでまとめて観たのでよしとしよう。

その後、ミュージアムカフェで、値段のわりにはおいしくもない昼食をとる(値段は景色代と割り切るべきだろう)。続いて、ついでにと言っては失礼だが、「中国・美の十字路展」「新しい世紀の中国現代美術展」「都市の模型展」を観る。

それにしても、この六本木ヒルズという建造物は、虚栄の塊*1のようで、ちっとも好きになれない。人間工学を一切無視して近代的意匠を最優先したらこうなりました、という見本のようなものだろう。私は、このビルの外観が孵化直前のエイリアンの卵にそっくりだと常々思っている。

*1:後日、仕事で再訪した際、入居企業の一覧表に製造業が1社もないのを見て呆れた。