「ハッピーフライト」

新百合ヶ丘のレイトショウで、先週封切られたばかりの映画「ハッピーフライト」を観ました。製作発表以来、心待ちにしていた映画です。

期待を裏切らないすばらしい映画でした。私のような筋金入りの全日空ファン・旅客機マニアのはしくれも十分満足できますし、特定の航空会社や旅客機に興味のない人でも楽しめる作品に仕上がっています。私は、映画に現実的迫真性(リアリティ)と人間描写(ヒューマニティ)を求めますが、本作は、いずれも高い水準で満たしていると言えるでしょう。全日空の全面協力の下で撮影されているだけに、実物・現場の映像的迫力は並大抵のものではありません*1。また、操縦士、客室乗務員、地上勤務職員、整備士、航空管制官等、おびただしい職種の人々が登場しますが、丁寧に個々の性格描写をしており、ほとほと感心しました。

もちろん、映画的演出・誇張・省略はあります。しかし、それらを意識させないほど、巧みなストーリー・テリングで映画的世界に引き込んでくれます。矢口史靖監督は、「スウィングガールズ」でも巧みな演出手腕を発揮していましたが、本作では、いっそう冴え渡っていると言っていいでしょう。邦画では久しぶりに、映画らしい映画、楽しくて面白い映画を観た、という充足感を与えてくれました。

日付が変わる頃、自宅に帰り着きました。夜空を見上げると、東アジア方面への旅客機が残していったとおぼしきコントレールが3条、うっすらと光っていました。劇中ではありませんが、プログラムに記載されていた管制官・竹内和代の「あの飛行機雲は私たちが描いているのよ。」という台詞を思い出し、改めて、映画の感動が蘇ってきました。

右上の写真は、本作に登場するJA8096(B747-481)です。2004年7月3日にロンドン・ヒースロー空港からNH202便として搭乗した際、撮影したものです。
ハッピーフライト ビジネスクラス・エディション(2枚組) [DVD]

*1:セットは、操縦席、タワー管制室、OCCのみ。