「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」

娘たちが夏休みの宿題の取材に横浜市歴史博物館に出かけていったのを幸い*1、妻とチネチッタに映画「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を観に行きました。

「お約束」通り、ノンストップ・ローラーコースター・ムービーとして、存分に楽しませてくれました。SFXやCGを濫用せず、ライブアクションが多いので、手に汗握る冒険活劇を堪能させてくれます。随所にシリーズ過去作のモチーフが散りばめられており、インアディアナ・ジョーンズ映画のファンとしては、うれしい限りです。私は、予備知識を仕込むことなく、この映画を観ましたので、マリオンが登場する場面では、驚きと感動を味わうことができました。ラストシーンは、次回作につながることを期待させてくれました。

やはり、スピルバーグ監督は、こういった娯楽に徹した映画を撮ると、天才的な手腕を発揮します。有無を言わさず観客を物語に引きずりこんでいく演出は、心憎いほどです。そうであれば、こちらも、細かいアラには拘泥せず、ローラーコースターに身を任せて、ワァとかキャアとか叫んでいれば、最後には爽快感を覚えさせてくれる、という首尾です。

しかし。

核兵器(1957年という時代設定からして水爆)が炸裂する場面は感心しません。冷蔵庫の中に隠れたところで、核爆発の衝撃や熱に耐えられないだろうとか、デッキブラシでこするくらいでは、二次被爆を免れないだろうとかいった非現実性以前の問題として*2、核爆発のエピソードを導入する必然性が感じられません。映画製作者たちは、核爆発をカーチェイスや激流下りと同列のアクションとしてしか考えていないのは明らかで、米国人の核兵器に対する認識不足を反映したものと言えます。米国内では、原爆や核実験により被爆した米軍兵士や核実験場周辺住民のことは、あまり知られていないようですから、おそらく、米国一般市民が核惨禍を実感する日は永遠にやってこないでしょう。

惜しいですね。あの場面さえなければ、本作のDVD(またはブルーレイ・ディスク)が出たら買ったでしょうに。
インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】 [DVD]

*1:夏休みも残り1週間というのに、今さら何をやっとるんだ、という感じですが。

*2:同じレベルの非現実性であれば、本作中、ほかにもいくらでもあります。