「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

遅ればせながら、「ALWAYS三丁目の夕日」「ALWAYS続・三丁目の夕日」二本組のDVDを買い、続編をようやく観ることができました。前作に続いて、これもいい映画です。前作に比べて登場人物が増え、個々のエピソードが断片的になっている感はありますが、昭和33年の世相を描くのに忙しかった前作よりも、人生の諸相を描くのに成功したとも言えるでしょう*1

茶川竜之介(吉岡秀隆)の「世の中にはお金よりも大事なものがある。」という叫びが、本作のモチーフになっています。しかし、「憎まれ役」の川渕康成(大日向文世)に「はっきり言って甘い。現実はそうはいかない。」という台詞を言わせて、奇麗事に終わらせなかったところに、製作者の優れたバランス感覚が現れています。「世の中には、金で買えないものがある。でも、金がなければ買えないものもある。」という苦い現実から目をそむけたら、ただのファンタジーになってしまうでしょう。

完成した東京タワーに沈む夕日を鈴木家の親子が眺めた前作に比べ、やがて首都高速都心環状線に覆われてしまう日本橋川の彼方に沈む夕日を「血がつながっていない」茶川・石崎ヒロミ(小雪)・古行淳之介(須賀健太)の「家族」が眺める場面は、これから日本に訪れる未来を象徴しているようでした。

妻子ある中年男性で、人前で涙を見せることを恥と思っている方は、本作は、決してご家族といっしょではなく、一人でご覧になることをお勧めします。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20070323
ALWAYS 続・三丁目の夕日[二作品収納版] [DVD]

*1:牛島(福士誠治)のエピソードは、「俺は、君のためにこそ死ににいく」とは比較にならないくらい、さりげなく、しかし切なく描いていました。