「女流義太夫の新たな世界」

紀尾井ホールが企画した「女流義太夫の新たな世界」を観に行きました。人間国宝の駒之助と文雀が1957年以来51年ぶりに共演するのだそうです。女流義太夫を聴くのは、1月の淡路人形浄瑠璃以来2回目ですが、女流義太夫文楽の共演自体、1963年以来45年ぶりということで、貴重な機会でした。


「二人三番叟」 動的な祝祭劇
かねてから、「寿式三番叟」、せめて「二人三番叟」を観たいと思っていたのですが、ようやく念願が適いました。私は、このリズミカルな義太夫節が大好きなのです。舞台上には、大夫と三味線が5人ずつ並び、壮観です。人形は、検非違使が玉志、又平が清三郎です。鈴を振りながら舞台狭しと駆け回る三番叟の姿は、半世紀ぶりに女流義太夫文楽の共演が実現したお祝いにふさわしいものでした。次は、ぜひ「寿式三番叟」を観てみたいものです。
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「良弁杉由来」 静的な親子再会劇
後半は、いよいよ駒之助の登場です。三味線は津賀寿。人形は、文雀(渚の方)・和生(良弁僧正)の師弟と玉佳(弟子僧)です。黒子姿で顔はわかりませんが、主遣い級の人たちが左・足・ツメを遣っていたようです。「二月堂」は、前半から一転、ほとんど動きのない舞台になります。*1渚の方が息子との再会を果たし、慟哭する場面は、浄瑠璃・人形ともに胸を打ちました。駒之助の語りは、男の義太夫とは違った繊細さがあり、味わい深いものでした。

*1:玉佳などは、人形を抱えて立っているだけに等しく、ちょっと可哀想でした。