「横山大観」展

横山大観の没後50年を記念した「横山大観」展が国立新美術館で始まったので、妻と長女といっしょに出かけていきました(次女はバレエの稽古)。


「夜桜」「紅葉」が圧巻
初期の佳品に続いて、本展のマスターピースである「夜桜」(1929)と「紅葉」(1931)が並べられていました。「夜桜」は、昨春、大倉集古館で観ましたが、「紅葉」は初めてです。「夜桜」に負けず劣らず豪奢な絵です。両作とも、日本の春秋がもつ一種凄艶な美しさを表現しつくしていると思いました。これらの六曲一双が並ぶ様を見るのは、これが最初で最後かもしれません。まさに、壮観としか言いようがありませんでした。


「生々流転」「四時山水」全巻展示
「夜桜」「紅葉」だけでも大満足ですが、さらに「生々流転」(1923)と「四時山水」(1947)が全巻展示されていました。「生々流転」は、昨年、国立近代美術館で全巻展示を観ましたが、「四時山水」は初めてです。「生々流転」と違って着色なので、より写実的になっています。いずれも、自然・季節の変転する様を一巻に描き切るという気宇壮大さに圧倒されます。


その他の佳品の数々
上記の大作のほかにも、数多くの佳品が展示されています。国立博物館でおなじみの「無我」(1897)、ボストン美術館から里帰りした「月夜の波図」(1904)、月に照らされる雪山を描いた「比良山の月」(1926)、霧の茫洋とした表現が美しい「瀟湘八景」(1927)から「山市晴嵐」「洞庭秋月」「遠浦帰帆」「瀟湘夜雨」、代表作の一つ「霊峰飛鶴」(1953)などが印象的でした。後期展と併せれば、大観の主要作品を網羅することができ、まさに回顧展に相応しい展示内容です。