「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」 覚悟はしていたものの

中間試験を控えた長女を家に置いて、妻と次女といっしょに国立新美術館へ「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」を観に行きました。目玉は、わざわざ展覧会名に謳う通り、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」(1659)です。しかし、裏を返せば、フェルメールはただ一点きりで、残りは「オランダ風俗画」で一括りにされてしまう絵だということです。


そうは言っても「オランダ風俗画展」
まあ、それは承知のうえで出かけたわけですが、やはり、そうは言ってもこれは「オランダ風俗画展」に過ぎんわなあ、という感じでした。確かに、アムステルダム国立美術館の改装工事がなかったら、日本に来ることはなかったであろう「牛乳を注ぐ女」に再会できたのは*1、うれしいことでした。しかし、フェルメール以外で知っているのはレンブラントとヤン・ステーンくらいで、あとは、恥ずかしながら、名前も聞いたことのないオランダ画家の風俗画がずらりと並んでいるわけです。よほど、オランダ風俗画に興味のある人でない限り、堪能するのはちょっと難しかったのではないでしょうか。


最後に待っていた少女
こりゃ割安のペアチケット(1人800円)を買っといてよかったわ、と思いつつ、早々に会場をあとにしようとすると、最後の方にあったヴァーイ「アムステルダムの孤児院の少女」(1900)に目が止まりました。フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」(1659)へのオマージュのような清楚な作品です。窓辺で少女が読んでいるのは聖書でしょうか。そうか、孤児の彼女に手紙は届かないんだな、と思ったら、ちょっと可哀想になりました。最後に佳品に出会えて、好印象のまま家路につくことができました。

*1:私は、1992年5月にアムステルダム美術館で観ています。