「ナルニア国物語」のHe111爆撃機

帰宅すると、妻子が「ナルニア国物語」の貸しDVDを観ていた。彼女らは、完璧に春休みモードである。以前、旅客機の中で断片的に観て、映像の綺麗な作品だな、という印象が残っている。夕飯を食べながら、最後まで付き合って観た。全編が終わると、やおら、冒頭のロンドン空襲の場面を再生する。以前観たとき、ドイツ空軍のHe111爆撃機が登場するのを覚えていたのである。何しろ、私は、子供の頃、傑作戦争映画「空軍大戦略*1を観て以来、第二次世界大戦機、いや、あらゆる航空機の中でHe111が最も美しいと思っているのだ。

ここで再現されているHe111の型式は何か。バトル・オヴ・ブリテン期(1940年7-10月)の描写なので、1941年以降に生産されたH-6型以降の型式ではない。また、エンジンの形状から、H-3前期型以前の型式でもない。従って、H-3後期型、H-4型、H-5型のいずれかということになるが、それ以上は絞り込めない。胴体下面のゴンドラ前部に窓がないのが特徴的だが、これらの型式の中でそれに該当するものがあるかどうかは、手元の資料やネット上の情報ではわからなかった。

外観の映像はもちろんCGだが、He111の特徴をよく再現している。He111の象徴である前部風防の複雑な窓枠、右側に偏位している前方機銃座、胴体下面の爆弾倉の位置等、かなり正確だ。実機図面をもとにCGモデリングをしたものと思われる。機内も、多少の省略はあるものの、操縦桿、MG15前方機銃等々、それらしく再現されている。機長や爆撃手の兵装も、皮製飛行帽、酸素マスクなど実物そっくりである。物語の本筋とはおよそ関係ない場面であるにも拘らず、手抜きをしない製作姿勢に好感が持てる。妻子には、「パパは、本筋とは関係ないところに反応するのねえ。」と呆れられたが・・・。
ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 [DVD] 空軍大戦略 [DVD]

*1:撮影に協力したスペイン空軍が運用していたCASA2111(He111H-16の輸出仕様機)が画面狭しと飛び回る夢のような映画である。原題は「BATTLE OF BRITEN」。B級戦争映画のような邦題を何とかしてほしい。