KE6708便の旅

46番ゲートに駐機しているのは、HL7484(B747-4B5)。機齢15年、大韓航空の23機のB744フリートの中では古手の方だ。水色の塗装が美しい。

11:50頃、金浦国際空港行きKE6708便の搭乗開始。私の席は18J。2階席である。雰囲気が落ち着いているうえ、窓際の席は脇に荷物入れがあって便利なので、2階席は好きな方だ。しかし、双発ジェット機のETOPS化の進展により、B747は世界的に絶滅危惧種になりつつあるので、2階席を堪能できるのも今のうちだ *1。周りは、大半が韓国人乗客のようで、客室乗務員は韓国語で話している。みんな若くて綺麗である*2。コーポレートカラーの水色の制服もセンスがよい。

12:17、定刻より2分遅れでスポットアウト。隣の45番ゲートにはアシアナ航空OZ1015便のHL7746(A330-323X)が駐機している。C1誘導路から34Rの終端に入る。12:32離陸。右旋回をしながら東京湾を上昇していく。今日は天気がいいので、東京市街がよく見える。ちょうど多摩川に沿って北西に飛行していく。案の定、我が家の上空を通過した*3多摩湖(山口貯水池)や奥多摩湖も見える。秩父山地を抜けると、雲間に八ヶ岳が見えた。主峰赤岳は冠雪している。諏訪湖を過ぎると、北アルプスが見える。常念岳(2857m)から蝶ヶ岳(2677m)に至る稜線がよく見える(写真中央)。左手の雲中の白い山塊は前穂高岳(3090m)か。穂高主脈や槍ヶ岳はあいにく雲に隠れていた。

間もなく御嶽山(3067m)の真上を通過する。火口湖がいくつか見える。いかにも活火山だ。

御嶽山を過ぎたあたりで、眼下には雲が広がってきた。高度はFL330*4。視界がなくなったところで、折りよく食事サービスが始まった。ビビンバと洋食の選択だったが、当然、ビビンバを選ぶ。トレイには陶器の食器が並び、ナムルがきれいに盛り付けられている。加熱した白米が出されたが、ご飯にナムルをかけるのか、ナムルにご飯をかけるのかわからない。隣の韓国人のおじさんを横目で見ると、ナムルの上にご飯をあけ、チューブのコチジャン胡麻油を搾り出して、混ぜ合わせ始めた。なるほど、そうするのか、と合点して、私も真似をする。食べてみると、おいしい。さすが韓国の航空会社である*5。ご飯の容器を回収した後に配られたスープもいける。温かい韓国料理が味わえて、満足のいく食事であった。

食後は、景色も見えないことゆえ、仕事の書類を読む。14:08、外を見ると陸地になっている。いつの間にか、韓国上空に進入していたようだ。小白山脈と思しき山地は、うっすら雪を頂いている。大田市の横をかすめて北西に降下をしていく。やがて遠くにソウル市街が見えてきた。14:37、金浦国際空港の32Rに着陸。D3誘導路から出て、14:43、国際ターミナルの37番ゲートにスポットイン。2時間5分の順調なフライトであった。

*1:最近、日本にもお披露目飛行にやってきたA380は、総2階建てなので、B747のこじんまりした2階席とは雰囲気が違うだろう。そもそも、この巨人機が日本で普及するかという問題もある。

*2:女性を年齢や容姿で判断するのは本意ではないが、語学的にも時間的にも親しくお話をする機会に恵まれない韓国人客室乗務員の内面は窺い知れないので、まことに不本意ながら、外観だけの印象を述べざるを得ない。

*3:機窓から撮影した写真には、我が家のマンションが写っていた。それを見た長女は、「最新の航空写真じゃん。Google Earthに勝ったね。」と嬉しそうだった。

*4:個人用モニタが装備されておらず、通路前方のモニタは、途中でスカイマップから一般番組に切り替わってしまったので、飛行高度や位置がわからなくなった。私にとって、スカイマップが最上の機内エンタテインメントなのに。

*5:韓国人乗客は、「日本発の便のビビンバは、今一つだな。」と思っているかもしれないが。