聖徳記念絵画館

神宮外苑のいちょう並木に行ってみると、黄色く色づいているのは三分の一くらいで、まだ青々としている。今年も秋の訪れが遅いようだ。

いちょう並木を抜けて、聖徳記念絵画館に行く。ここは、明治天皇昭憲皇太后にまつわる史実を描いた絵画を集めた歴史美術館である。20年ぶりくらいの再訪だ。ちょうど江戸時代末期から明治時代にかけての日本史を俯瞰することになるので、かねてから長女を連れてこようと思っていたのだ。大理石の立派なドームをはさんだ両翼に、明治天皇の御降誕から大葬に至るまでを描いた日本画40点(左翼)・洋画40点(右翼)が展示されている。その多くは、日本史の教科書に出てくる有名な絵である。前田青頓(「大嘗祭」)、鏑木清方(「初雁の御歌」)、和田英作(「憲法発布式」)ら大家の作品もある。

中村不折「日露役日本海海戦」(1928)を観た次女が「これ、『三笠』でしょ。」と聞く。さすが我が娘だ。興味深いことに、この絵で主役を務めている戦艦「三笠」は、1905年(明治38年)10月23日に挙行された連合艦隊の凱旋観艦式を描いた東城鉦太郎*1「凱旋観艦式」(制作年不詳)にその姿はない。同年5月の日本海海戦で勝利を収めて凱旋後、9月11日に佐世保港内で火薬庫の爆発事故を起こし、沈没してしまったからである。明治天皇の右側に畏まっている東郷平八郎司令長官が心なしか意気消沈しているように見えるのは、そのためだろうか。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20060326

一通り観終わって館外に出ると、秋の日は落ち、月齢4.6の三日月がかかっていた。振り返ると、絵画館がライトアップされていた。1926年竣工のこの建物は、今年で開館80周年を迎えた。大正期の石造建築物として、貴重な存在である。荘重な内装も見応えがある。

国立競技場の横を通って千駄ヶ谷に行き、総武線で新宿まで行く。ヨドバシカメラで娘たちの足温器を買った。これで、ダイニングテーブルではなく、自分の机で勉強するようになってもらいたいものだ。

ほかの人の「Hatena:Diary」を見ていて、「あっ、写真が複数掲載できるんじゃん。」と今さらながら気づいた。これまで、たった1枚の写真に絞るのに苦悶した日もある。今日から必要に応じ、複数掲載することにする。過去のエントリにも随時追加していこう。

*1:横須賀の「三笠」館内に展示されている有名な「三笠艦橋の図」を描いた画家である。