曇り一時雨

夜、遠い昔、就職活動のときにお世話になった先輩お二人と会食する。場所は、麹町の「東京グリンツィング」である。オーナーの熱田貴氏に見繕ってもらったおいしいワインと料理を楽しみながら、話が弾んだ。シャンパン、白ワイン、赤ワインと飲み、最後はグラッパで締めくくったので、したたかに酔った。自動的に帰巣本能によるオートパイロット・モードに切り替わったが、表参道で半蔵門線から千代田線に乗り換え、代々木上原小田急線に乗り換え、登戸で乗り越し精算をし、南武線に乗り換える、という複雑な手順をよくこなしたものだと思う。帰宅後、居間にひっくり返ったまま寝込んでしまい、目が覚めたら、2時半だった。水を飲み、歯を磨いて床にもぐる。

店の名前の由来と思われるグリンツィンクは、ヴィーン郊外の小村の名だ。グリンツィンク墓地には、グスタフ・マーラーの墓がある。私は、1983年と1992年の2回、墓詣でをした。「私の墓を訪ねる人は、私が誰であったか知っているであろう。」というマーラーの遺志に従い、白い墓石には「GUSTAV MAHLER」と刻まれているのみである。