ラトルの「惑星」
HMVに注文していたラトルの「惑星」とマーラー第6、そしてクレンペラーのヴァーグナー管弦楽曲集のCDが届いた。これらのうち、「惑星」を聴いてみる。今年3月にベルリン・フィルと録音したもので、コリン・マシューズが作曲した「冥王星」が併せて収録されていることで話題を呼んだ盤だ。演奏の方は、EMIの淡白な録音のせいか、はたまた楽員の国際化が進んでいるせいか、往年のベルリン・フィルのゴリっとした音が鳴らない。演奏も淡々としたもので、あまり感銘を受けない。マシューズの「冥王星」は、ごくふつうの現代音楽で、言われなければ冥王星を描写しているとはわからないだろう*1。私にとっての「惑星」の決定盤は、マゼールがフランス国立管弦楽団を指揮した演奏だ。
冥王星は、今年8月24日の国際天文学連合総会で「矮惑星」に格下げされてしまった。この曲は、組曲「太陽系」ではないのだから*2、わざわざ冥王星を追加することもなかったろうに、きまりの悪いことである。それはさておき、太古の昔から太陽の周りをひとり公転している冥王星にしてみると、1930年2月18日に「発見」され、それから76年後に矮惑星に「格下げ」されるというのは、もう勝手にしてくれ、という感じだろう。この間、冥王星は、公転軌道を1/3周もしていない*3。しかも、1979年2月から1999年2月までの20年間は、海王星の公転軌道の内側に入り込んでいて、「太陽系最遠の惑星」ですらなかった。人類がどう定義しようと、冥王星は、今日も太陽から遥か約59億km*4の彼方を黙々と公転している。