一路上海へ

B滑走路への通り道であるE2ゲートウェイの手前で停止。どうしたのかと思ったら、B滑走路からカンタス航空B767-338ER(VH-OGU)*1がこっちにやってくる。E2ゲートウェイは幅が狭いので、行き違いができないのだ。カンタス機が通り過ぎてから、E2ゲートウェイを抜けて16Lへ向かう。

先行機の日本航空B767-346ER(JA607J)が離陸した後、当機も滑走開始。18:54離陸。離陸後3分で雲上へ抜ける。空には細い爪のような三日月がかかり、その下に富士山が雲海の上に顔を出していた。右旋回してテトラポイントへ向かう。旋回中、後続機と着陸機が眼下に見える。テトラポイントで左旋回し、ほぼ真西に向かう航路に乗る。眼下はほとんど雲で、どこを飛んでいるかはスカイマップ頼りだ。富士山の近傍を通過したが、視認できなかった。

19:15頃、FL380(11,582m)で水平飛行に移る。19時半頃、飲食サービスが始まった。シートはFクラスだが、当然、サービスはCクラスである。習慣でマティーニを所望する。琵琶湖あたりを通過している頃、巨大な黒い雲塊が幽霊船のように近づいてきて、横を通り過ぎていった。高さはおそらく12,000mくらいあったろう。さすがに雲頂は金床状に平らになっていた。

遠くに松江や島根半島が見える。このあたりから、世界のすべてを許してもいいような幸福感を感じ始める。低気圧とアルコールのせいだ。食事は和食にした。日本出発便の和食はおいしい。玄海灘に抜けると、イカ釣漁船の漁火が宝石をちりばめたように洋上に広がる。20:35頃、済州島が見える。食後、フルラットシートを試してみる。見事に水平になる。

そのままちょっとうとうとしたら、もう着陸準備のアナウンスがあった。20:18上海浦東国際机場のRWY17に着陸。わずか2時間24分の飛行であった。20:24、19番ゲートにスポットイン。隣の18番ゲートからトルコ航空A340*2がスポットアウトして行った。

入国審査・税関とも問題なく通過。出口の外には、全日空の「CHINAVI TAXI」サービスで予約しておいたタクシーの運転手が私の名前を書いた札を持って待っていた。Tシャツ・短パン姿のお兄さんだったが、片言の英語を話してくれたので、何とか意思疎通できた。駐車場に停めてあったタクシーに乗り、ホテルへ向かう。空港からダウンタウンへ一直線に伸びた迎賓大道を西進。途中で一般道へ降りて、浦東新区へ入る。あまり賑やかでない区画に今夜の宿、徳宏酒店公寓があった。

外観は、泊まって大丈夫だろうかと思うような木賃宿だが、あてがわれた608号室は、清潔で広大なスイートだった。長期滞在用の部屋を兼ねているらしく、洗濯機までついている。ただし、風呂はなく、シャワーのみだ。空調は、各室のエアコンで冷房するようになっている。インターネット接続の設備はなかったが、意外にも、国際通話のダイアルアップ接続が通り、メールを取ることができた*3

現地法人の人たちがホテルに到着したので、22時過ぎから近所に呑みに出かける。入ったのは「東北菜」という東北(満州)料理の店だった。ハルビン・ビールの「HAPI」を飲みながら、羊肉の炒め物や蕨の和え物などの辛い東北料理を食べる。可愛い顔のウェイトレスのお姐さんは、おそろしく愛想が悪かった。0時過ぎに店を出たが、戸外には、屋内の暑さを避けた人たちがまだ屯していた。

ホテルに戻り、シャワーも浴びずに寝てしまう。

*1:ケイアンズから到着したQF167便だったようだ。

*2:イスタンブール行きTK021便だったようだ。

*3:合計30分くらいの接続で電話代の請求は331.90元・約5,300円だったので、悪くはない。