カーズ

今日の映画は「カーズ」である。「カーズ」の前に、の短編映画「ワン・マン・バンド」が上映される。面白い。ピクサーの短編映画はいずれも秀作揃いだ。

本編の「カーズ」は、自動車、西部、ルート66、60年代のポップカルチャー等に対する郷愁が色濃く出ており、ピクサーの一連のアニメーション映画の中では、最もアメリカ的な作品になっている。光、砂埃、群集などの精緻な表現はお手のもので、もはやピクサーのCG技術で表現できないものはないと感じさせる。しかし、ピクサー一流のシナリオの練り込みは今ひとつといった感じだ。クライマックスにかけて盛り上がっていくものの、前半は少々じれったい。私は、ビールの影響もあって、ついうとうとしたのだが、横を見たら妻も眠りこけていた。やはり、いくら擬人化しているとは言え、自動車に感情移入するのは難しい。映画終了後、「映画を熱心に観ているのは子供だけかね。」と娘たちに批判された。

エンドロールが最後の最後に至るまで面白いので、途中で席を立たないことをお勧めする。

ルート66は、現在では、そのほとんどが本作にも登場する州間高速I-40に吸収されている。本作の舞台である「ラジエーター・スプリングス」の町は、劇中の地図にある「キャデラック・キャニオン」がグランド・キャニオンのことだとすれば、アリゾナ州フラッグスタッフかウィンスロウのあたりということになる。私と妻は、1992年の夏に、ロスアンジェルスからオクラホマシティまでI-40を1週間がかりで走破した。I-40は、本作で誇張されているほど一直線ではないが、まさに本作のような景色の中を走っていく。途中、テキサス州のシャムロックという田舎町に投宿した際、ルート66の道路標識やルート66所縁の歴史的建造物「U DROP INN CAFE」を見た。

興味深いのは、主要キャラクターのうち、アメリカ車でないのは、ドイツ車(ポルシェ911とフォルクスヴァーゲン・バス)とイタリア車(フィアット500とフォークリフト)だけ、ということだ。米国市場での日本車の新車販売台数のシェアは30%を超えているから、トヨタ車、日産車、ホンダ車が1台ずつ登場しても全然おかしくないのだが、お呼びがかかっていない。それどころか、本作の興行用ポスターに描かれている無数の自動車の中に、日本車らしい車は1台も見あたらない。アメリカ社会における日本車の存在感は十分大きいのだが、こういうアメリ愛国主義的な映画には登場させてもらえないらしい。

写真は、マクドナルドの「ハッピーセット」のおまけのサリーである*1。今回の「ハッピーセット」のおまけの中では、サリーの出来が一番よい。ドアミラーやポルシェのエンブレムは省略されているが、その他は、まずまずの再現だ。ホイールキャップを銀、タイヤを艶消し黒で塗ったら足元が引き締まった。ものはついでとばかり、前照灯カバーのガラスを表現するために、木工ボンドをたらした。しかし、乾燥して透明になると、元の艶あり塗装と見分けがつかず、徒労に終わった。

*1:サリーほしさに、もう「ハッピーセット」を卒業した娘たちに「ハッピーセット」を注文させたのである。何という親だ。