「グラフ・シュペー」とUSS「セーレム」

映画「戦艦シュペー号の最後」の中で戦艦「グラフ・シュペー」*1に扮しているのは、米国の重巡洋艦USS「セーレム」(CA-139)である。「グラフ・シュペー」は、全長186m、基準排水量12,100tであるのに対し、「セーレム」は、全長218.4m、基準排水量17,000tと一回り大きいが、1本煙突・2本マストで艦型は似ていなくもない。しかし、「グラフ・シュペー」は、52口径28センチ3連装主砲の砲塔が前後1基ずつであるのに対し、「セーレム」は、55口径8インチ(203ミリ)3連装主砲の砲塔が前2基、後1基であるうえ、前部艦橋の形がかなり違う(「グラフ・シュペー」の方がすらりと美しい)。何より、艦首にでかでかと「139」と艦番が書かれているのに違和感を覚える*2。撮影時だけでも塗りつぶすことはできなかったのだろうか。なお、この「セーレム」は、1959年1月に米国海軍を退役した後、マサチューセッツ州クインシにある合衆国海軍造船博物館に保存され、一般公開されているようだ。

*1:ネット上の情報(BBC NEWS)によれば、2006年2月に、海中の戦艦「グラフ・シュペー」から鷲のブロンズ像が引き揚げられたという。写真を見ると、「グラフ・シュペー」の艦尾に取り付けられていたエンブレムのようだ。これまでも、前部艦橋頂部の主砲射撃指揮所が引き揚げられているようだ。66年以上外国の海底に沈んでいたとはいえ、依然、ドイツが所有権を保有しているはずだが、こんなことをされてよいのだろうか。

*2:この艦番のおかげで艦名を特定できたのだが。