サンディエゴからサンフランシスコへ

6時半頃、目覚まし時計に起こされる前に目が覚める。まだ日は昇っていないが、空はきれいに晴れている。風呂に入った後、散歩に出かける。朝の海岸は気持ちがよい。昨日のアザラシの砂浜に行ってみる。捕食の時間なのか、砂浜には10頭くらいしか残っていなかった。よくよく見ると、波間にアザラシの頭が浮かんでいる。息継ぎに浮上してくるらしい。砂浜では、母親が生まれたばかりと思しき仔アザラシに授乳中だった。あたりをジリスが走り回っている。野生動物や野鳥が豊富で、娘たちを連れてきたら大喜びするような場所だ。今度家族を連れてこよう。間違いなく、出張で来るところではない。ここで暮らしたら、勤労意欲を失うこと間違いなしの風光明媚なところだ。

ホテルに戻って仕事に備える。やがて、他の出張者たちも私の部屋に集まって、朝食を取りながら最後の打ち合わせ。私の部屋は、専ら会議室として使われたことになる。チェックアウトし、出張者の車で仕事先に向かう。

夕方仕事が終わり、日本人二人は車でロスアンジェルスに向かう。私とアメリカ人は飛行機に乗るので、タクシーを呼んでもらって、サンディエゴ国際空港に向かう。最後の最後まで、仕事の話だ。空港に着くと、アラスカ航空に乗る彼と別れ、私はユナイテッド航空のカウンターに行く。予約していた席は30Fという一番後ろの隅の席だったのだが、3C*1に変えてくれた。どうせ夜は景色が見えないので、通路側でもよい。

安全検査を抜けてゲート11に行ってみると、ユナイテッド航空のサンフランシスコ便は、軒並み遅延になっている。私のUA698便も1時間の遅延だ。サンフランシスコには寝に行くだけだが、あまり遅くなるのも嫌だったので、1便前のUA778便にスタンドバイする。係員に尋ねると、中西部の悪天候でダイヤが大幅に乱れているとのことだった。ユナイテッド航空は、シカゴやデンヴァーハブ空港としているので、悪天候の影響をまともに受けたのだろう。この時期の米国内の航空旅行はこの手のリスクが伴う。結局、UA778便の搭乗が始まっても、名前は呼ばれなかった。19:40頃、UA698便の機材がデンヴァーからのUA329便として到着。B737-322(N378UA)だ。

機内整備もそこそこに、20時を回った頃、搭乗開始。通路が1本しかないB737は、旅客搭乗に時間がかかる。Yクラス最前列の通路側なので、ドアを開けた操縦席がよく見える。機長は精悍な顔つきの女性である。いかにもアメリカらしい。出発直前、チーフパーサの女性とドアノックの打ち合わせをした後、扉を閉めた。予め示し合わせてある暗号が使われない限り、ドアを開けないという決まりなのだろう。これまた臨戦国家アメリカらしい。と思ったとたん、当機にテロリストが乗っていないか不安になる。アメリカを標的にしたテロの巻き添えになるのは遠慮したいところだ。

20:50に約1時間半遅れでスポットアウト。客室乗務員が「ようやく出発です。」とアナウンスする。機内にはうんざりした空気が充満している。20:58に昨日と同じRWY27から離陸。サンディエゴ国際空港は滑走路が1本しかないのだ。*2景色も見えないことゆえ、ひたすら爆睡する。おかげで飲み物サービスにはありつけなかった。1時間あまりの飛行の後、22:05サンフランシスコ国際空港28Lに着陸。22:14にゲート70にスポットイン。

空港で食事をしていくかどうか、ちょっと迷ったが、早くホテルに着きたかったので、ホテルのシャトルバスを待つ。到着階で待っていてもなかなか来ないので、もう一度ホテルに電話したら、出発階しか停まらないという。それを先に言わんかい(言ったのが聞き取れなかっただけかもしれないが)。慌てて出発階に上がると、ちょうどシャトルバスがやって来た。危ないところだった。隣のホテルに先に停まる。航空会社の乗務員を中心にした乗客は全員降りてしまい、乗客は私だけになる。23時過ぎに今晩の宿であるエンバッシ・スイートにチェックイン。係員に尋ねると、ルームサービスは23時で終わったばかりとのこと。晩飯が取れない私を哀れに思ってくれたらしく、わざわざ従業員用の自動販売機まで案内してくれた。しかし、スナック菓子や清涼飲料水の類しかないので絶食を覚悟する。

喫煙室は嫌だと言ってごねた結果あてがわれた218号室は、エレベータの真ん前だった。スイートなので、ドアを開けるといきなりリビングになる。廊下の奥がベッドルームとバスルームだ。流しが全部で3つもある。今回の出張は、宿運だけは(不必要に)いい。カーテンを開けてみたら、湾に面していないのでほっとする。湾に面していると、サンフランシスコ国際空港が目と鼻の先なので、早朝からうるさいのだ。

荷物は解いたものの、やはり絶食する気にはなれなかったので、意を決して外出する。幸い、1ブロック先のレッドルーフ・インのダイナーがまだ開いていた。闇夜に光る電飾が救済の道しるべのようであった。チーズバーガとビールを注文する。チーズバーガの味も悪くなかったし、何より、サンフランシスコの地ビールのアンカースチームが飲めたので、今日のすべてを許す気になれたのであった。

*1:Fクラスにアップグレードしてくれたのかと感謝していたのだが、搭乗してみたら、Yクラスの最前列だった。

*2:空港拡張のキャンペーン中らしい。