ハウルの動く城

DVDで「ハウルの動く城」を観た。基本的な感想は、映画館で観たときと同じだ。「魔法をかけられた少女が魔法使いの少年を救済し、自らも解放する。」という主題は、「千と千尋の神隠し」とまったく同じである。しかし、個々のエピソードが難解で、全体的には晦渋だ。過去の宮崎・ジブリ作品からの引用が多く、*1一見、本作もそれらの延長上にあるようだが、ひとつだけ決定的に違うことがある。宮崎作品で初めて、キスシーンをきちんと描いたことだ。ソフィーのキスによってハウルにかかっていた魔法が解けたが、*2それとともに、宮崎世界を覆っていた魔法も寛解してしまったのではないか。ヴァーグナーと同様、「無垢なるもの(多くの場合は女性)による救済」という主題を追求してきた宮崎作品は、これから何を描いていくのだろう。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20041127
ハウルの動く城 [DVD]

*1:私が気づいた限りでは、「カリオストロの城」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「火垂るの墓」「魔女の宅急便」「紅の豚」「耳をすませば」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「猫の恩返し」。

*2:直接的描写はないが、「紅の豚」のラストも、フィオの一瞬のキスがポルコにかかっていた魔法を解いたことを暗示している。