若杉のマーラー

今日は、ミューザ川崎東京都交響楽団の演奏会だ。13:30から公開リハーサルがあるというので、まず私だけ出掛けていく。指揮者の若杉弘が、オーケストラ演奏を交えながら、曲目解説をするというもので、期待していたような公開練習ではなかった。

終了後、ホールの隣で催されていた「木之下晃写真展」を観る。ちょうど、木之下晃氏が作品解説をしているところで、巨匠たちとのエピソードを興味深く拝聴することができた。

本番の開演前に妻もやってきた。今日はマーラーなので、娘たちは当然留守番である。

16:00開演。マーラーの第5交響曲1曲のみというさっぱりしたプログラムだ。しかし、演奏の方は満足できかねるものだった。新日本フィルと並ぶ世界有数のマーラー・オーケストラである都響は力演した。しかし、若杉の指揮は、ひたすら総譜を追うのみで、独自の味付けが感じられない。1980年3月28日のケルン放送交響楽団との来日公演での颯爽とした指揮や1988年10月22日の都響とのマーラーシリーズでの自信に溢れた指揮が嘘のようだ。四半世紀にわたって聴き続けてきた指揮者の衰えた姿は見たくないものだ。

ちょっと暗澹たる気分で帰途につく。