井上道義のショスタコーヴィチ

井上道義新日本フィルを指揮してショスタコーヴィチの第11交響曲をやるというので、終業後、池袋に行く。滅多に演奏会にかからない曲である。都民芸術フェスティバルの公演なので、A席でも3,800円と格安で、まことによろしい。

1曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第22番。あまり馴染みのない曲だ。*1ピアノは、児玉桃。初めて聴くピアニストだが、お人柄なのか、「私、好きで弾いているんじゃないのよね。」といったような弾きぶりで、あまり感心しない。せめて、K.488かK.595の協奏曲にしてくれれば、退屈しなくてすんだのに。

2曲目がメインのショスタコーヴィチ交響曲第11番。大編成のオーケストラで舞台がいっぱいになる。マーラーと同じくショスタコーヴィチにも思い入れが強い井上は、渾身の指揮ぶりだった。重々しい第1楽章から凄絶なクライマックスの第4楽章まで、息もつかせぬ熱演を繰り広げる。新日本フィルも、井上の棒によくついていった。1999年から2000年にかけてこのコンビが行った「マーラー・ツィクルス」の素晴らしい演奏の数々を思い起こさせる。今度はぜひ、「ショスタコーヴィチ・ツィクルス」をやってもらいたいものだ。

*1:私がCDで持っているのは、バルビローリがフィッシャーと組んだ古い録音だけである。