かわさき市民「第九」コンサート

去年は、大枚はたいて娘たちに第九を聴かせて失敗したので、今年はもっと安価にあげることにする。今夏落成したミューザ川崎シンフォニーホール川崎市のアマチュア・オーケストラが合同で第九をやるというので、それにした。S席で@2,000円と、去年の1人分で家族4人が行ける。誤解のないように申し添えると、値段の安さに目が眩んだのではなく、北原幸男の指揮を一度聴いてみたかったし、佐々木典子、井坂恵という女性独唱も魅力的だったし、川崎市民でありながら、ミューザ川崎シンフォニーホールにまだ行っていなかったし、と正当化事由はいくらでもある。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20031223

ミューザ川崎南武線で一本で行けるので便利だ。駅からも近くてよろしい。ホールは、流行りのワインヤード形式。サントリーホールによく似ているが、こちらの方が客席が舞台に近く、臨場感がある。

1曲目は、マイスタージンガー前奏曲。2004かわさき市民「第九」交響楽団の実体は、麻生、川崎市民、高津市民、宮前の4団体の選抜オーケストラだ。かなり練習でしごかれたのか、アンサンブルもまとまって鳴りがよい、と思ったら、終結部近くになって金管が1小節ずれた。まあ、臨時編成のオーケストラにありがちな事故だろう。北原のやろうとしていた音楽は、堂々としたもので好感が持てた。

2曲目がメインの第九。合唱団の2004かわさき市民「第九」合唱団が入場する。300人くらいの大部隊だ。オーケストラは、真剣そのもので演奏を進めていく。各パートの首席奏者は、指揮者を必死で見ている。アマチュア・オーケストラならではの真摯さだ。厳格な第1楽章、躍動的な第2楽章、静謐な第3楽章と順調に進み、第4楽章。大合唱がここぞとばかりに活躍する。壮大なフィナーレでは、興奮のあまりか、北原が指揮棒を飛ばしてしまった。素晴らしい演奏であった。これだから、アマオケの演奏会は馬鹿にできないのである。北原幸男は、期待通りいい指揮者だった。今度はプロのオーケストラで聴いてみたい。

娘たちも、今年は殊勝に聴いていたようだ(寝ていただけかもしれないが)。