マティス展

国立西洋美術館マティス展を観にいく。会期末が近づかないと腰が上がらないのが、我が家の悪い癖だ。千代田線直通に乗り、根津から歩く。上野公園は、銀杏がちょうど色づいて、晩秋の風情だ。

ポンピドゥー・センターのコレクションを中心にした展覧会らしく、日本でマティスがまとめて観られるのは珍しい。マティスは、怜悧な知性を感じさせる画風が好きだ。本展では、「ルーマニアのブラウス」(1940)や「夢」(1940)に顕著だ。連作の「ジャズ」(1943-44)は、これまで大部分を観たことがあるが、全作品をまとめて観るのはこれが初めてかもしれない。やはり「イカロス」(1943)が一番好きだ。一双の障壁画のような「ポリネシア、空」(1946)と「ポリネシア、海」(1946)は、淡色ながら、熱帯雨林に響く鳥の声が聞こえ、珊瑚礁の海を鮮やかな魚が泳ぐ様が見えるような、不思議な大作だった。