スチームボーイ

夜、新百合ヶ丘のレイトショウで「スチームボーイ」を観た。人の労作を貶めるのは本意ではないが、壮大な駄作と言うよりなかった。「科学技術は人類の幸せのためにあるのか。」という浅薄な主題のために、わざわざ19世紀央のロンドンに借景しつつ、偽史をこしらえる意図が理解できない。劇中で用いられる「最終兵器」という用語は、核兵器を含意しているはずだが、大量破壊(描写こそないが、当然、大量殺戮も伴う)をスペクタクルとして展開するお気楽な姿勢は、被爆国民としては糾弾に値する。畢竟、この映画の製作者たちは、複雑な蒸気メカを描きたかっただけなのだろう。「APPLESEED」もまことにつまらない作品だったが、さすがに「金返せ。」とは思わなかった。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20040419