帰国の途へ

ようやく帰国の日だ。食事と睡眠が不規則でしんどい出張だった。

10時半にホテルをチェックアウトし、空港に向かう。チェックイン後、免税品店で買い物をする。妻子が気に入りそうなものを何とか見繕う。セキュリティ・ゲートには長蛇の列。30分は待たされたろう。ゲートをくぐると、ベルトのバックルが反応したのか、警報が鳴り、衆人環視の中、金属探知機で全身くまなく検査された。なぜか胸ポケットのウォレットまで反応し、中身を改められた。JAF会員証のICチップのせいか。

搭乗口に指定された114番ゲートはシャトルバスの発着所だ。搭乗開始直前に、どさっという音がして、座っていた人々が一斉に立ち上がった。見れば、天井から石膏ボードが降ってきたらしい。怪我人はなかったようだが、いかにもアメリカらしい椿事だ。ラスヴェガスからの接続便が延着したらしく、20分近く遅れて搭乗開始。シャトルバスに乗ると、滑走路をひた走り、西端の文字通り地の果てのようなところにある駐機場に連れていかれた。待っていたのはJA8917(B747-446)。定刻から30分遅れの15時頃、JL25便はのろのろと動き出し、滑走路の東端までタキシングしていく。順番待ちもなく、すぐ離陸する。

右の窓側の席だったので、復路は大陸から真っ直ぐ離れてしまうわけではないことに、迂闊にも初めて気がついた。往路と同様、しばらく海岸線沿いに飛行していく。青い海、海岸近くの緑の山、赤茶けた準平原、そして遠くに雪を頂くシェラネヴァダ山脈と、変化に富む景色だ。しばらくすると、カーメル、モントレーの町が見えてくる。ジャイアント・ケルプの海が青く美しい。海上には無数のラッコが群れていることだろう。ほどなく、サンノゼの町が視野に入り、半島が見えてきた。今日は、サンフランシスコの市街、ゴールデンゲートブリッジ、ベイブリッジ、アルカトラズ島などがくっきり見える。眼下にレッドウッドの森が広がり、オレゴン州との境が近くなってきたと思われる頃、海岸線からゆっくり離れていった。

食後、ひたすら寝る。出張中の睡眠不足のせいか、もういくらでも寝られるという感じだ。寝ている間、けっこう揺れたような気もするが、夢うつつだった。