ティーレマンのブルックナー

金曜日にしては珍しくその日のうちに帰宅できた。遅い夕食をとりつつチャンネルを切り換えていたら、ティーレマンがヴィーン・フィルを指揮してトリスタンの「愛の死」をやっていた。昨年の来日公演の録画らしい。チャンネルをそのままにしていると、メインのブルックナーの第7交響曲が始まった。途中でタモリ倶楽部空耳アワーに切り換えようと思っていたのだが、どうしてこれが粘着質の凄い演奏で、結局最後まで通して聴いてしまった。対向配置もバスを左に置く徹底ぶりだし、「お前ら、俺の振る通りに弾け。」という感じの今時珍しくなりつつある指揮スタイルだ。こだわりは聴衆にも向けられ、「俺が指揮棒を下ろすまでは、誰にも拍手をさせねえ。」と言わんばかりで面白い。この童顔ながらSSの制服が似合いそうな指揮者、クナッパーツブッシュがお手本だというから、只者ではないと見た。

妻にブルックナー交響曲の特徴を説明しているうちに、気の利いた比喩を思いついた。「第5は岩の塊、第7は木の塊、第8は鋼の塊、第9は水晶の塊。」