護国寺は湯屋か。

Wilm2004-01-08

晴れ。

たまに護国寺の近くに仕事で行くのだが、その存在が気になっていた。今日も行く用事ができたので、少し早めに出て護国寺に立ち寄ってみた。地下鉄出口の背後にいきなり威風堂々とした仁王門が立っている。正面の仁王、背面の天王、いずれも立派な像だ。17世紀末の築造とか。参道を進み、階段を上ると、途中に不老門がある。その上が境内になり、正面に本堂、右に鐘楼、左に多宝塔がある。屋根の大きい切妻造の本堂はたいへん美しい。垂木や肘木の意匠も凝っており、見ごたえのある寺院建築である。都内にこんな立派な伽藍があるとは、迂闊にも知らなかった。

仏教建築としての興味もさることながら、「千と千尋の神隠し」の世界を彷彿させるのが面白い。不老門を見たとき、「これは、不思議の町への入り口の時計台だな。」と思った。木造とモルタル造(千尋の父によれば)という違いはあるが、朱色に塗られ、「不老」(あちらは「後楽」)の銘板が掲げられていて、雰囲気は通じるものがある。破風の形は、湯屋のそれと同じである(あちらはトタン葺)。境内に立つ松は、橋のたもとの大灯篭の横に立つ松に似ている。

湯屋の建築意匠は、江戸東京たてもの園目黒雅叙園(いずれも一見の価値はある!)から取材したことは周知だが、護国寺はどうなのだろう。元禄様式の悪趣味を誇張した「千と千尋の神隠し」の世界観が元禄時代に築造された護国寺とたまたま似通っただけなのか。あるいは、不老門は昭和13年目黒雅叙園昭和3年の築だそうだから、昭和初期の時代雰囲気を反映しているのかもしれない。

今度はもう少しゆっくり見て回ろう。ほかにも発見がありそうだ。
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