混合水栓の交換のしかた

Wilm2008-05-04

ゴールデン・ウィークにおける私の最大の使命は、浴室の混合水栓の交換です。拙宅の混合水栓は、水流の圧力でシャワーと吐水口の切り替えを維持するタイプなのですが、水圧の低い拙宅では、シャワー使用中に突然吐水に切り替わってしまうという不具合が年々ひどくなってきました。しかし、水栓の交換は、まかり間違えば、深度280mの海底に沈んだUボートの艦内で、水圧に耐え切れなくなった止水弁が突如吹き飛び、海水が艦内に噴出する、といったようなことになるイメージがあって、なかなか踏み切れずにいました。ところが、最近になって、ハンドルの鍍金が剥れ始め、半ば背中を押される形で、混合水栓の交換に挑戦することにしました。


混合水栓の選択
拙宅の混合水栓は、入居時に取り付けてあったアメリカンスタンダード製#5339(上の写真)です。しかし、同社は、今年2月末で日本支社を閉鎖し、あっさり日本市場から撤退してしまったようです。満足度の低い製品だったので未練はなく、迷わず日本製品を選ぶことにしました。先週末から、近隣のホームセンターを回って探し始めたのですが、どれも今一つ気に入りません。これから10年以上も毎日使うものですから、それなりに愛着の湧くものを選ぶべきでしょう。ハンドルがプラスチックで鍍金というのは、避けたいところです。

先週金曜日の夜に東急ハンズ新宿店に寄ってみたところ、TOTO製TMHG44型を見つけました。ハンドルの操作性、機能的な意匠ともに申し分ありません。40,977円と、ちょっと値が張りますが、これに決めました。梱包してもらった紙袋を持つと、予想外に重いのに驚きました。


予想外の事態続出の交換工事・その1 元栓閉鎖
今日の午後、いよいよ、混合水栓の交換工事に取り掛かります。最初にすべきことは、元栓の閉鎖です。これを忘れると、海底のUボートになってしまいます。拙宅は集合住宅なので、玄関脇の鉄扉を開け、中にある水道の元栓(写真左)を閉めます。何回も廻すのかと思っていたら、わずか90度で閉鎖になりました。予想外です。


その2 モンキーレンチが使えない
旧水栓を取り外すべく、取付脚部の袋ナットにモンキーレンチを当てたところ、ぎりぎり挟み込めません。最大口開29mmの我家のレンチでは、30mm径のナットが外せないことがわかりました。予想外の事態に、慌てて近所の金物屋へ行って、モーターレンチ(トップ工業製MW-230)を買いました。2,080円と想定外の出費です。


その3 旧水栓の取り外し
家に戻って、再度元栓を閉じ、旧水栓の取り外しにかかかります。まず、吐水口を開いて、水道管内の水を排除しようとしたのですが、水はちょろっと出ただけでした。拍子抜けした気分で、取付脚部の袋ナットを最大口開56mmのモーターレンチで難なく外します。これで、旧水栓がごろんと外れました。続いて、給水側の取付脚部を廻して、壁から外します。外れたとたん、予想外にも、どぼどぼと水が吐き出されてきました。取付脚部の水栓が利いていたのでしょう。一瞬あせったのですが、水道管内の水が全部出ると、自然に止まりました。給湯側も同様でした。


その4 配管口の清掃
配管口だけになると、周囲に水垢がヘドロ状に溜まって、ちょっと凄いことになっています。こういうときは、得意の塩素系家庭用洗剤の登場です。周囲にスプレーで吹きつけ、歯ブラシでごしごしこすりました。さて洗い流そうと思ったとき、はたと気づいたのは、水が使えない、ということです。当たり前です。やむなく、500mlのミネラル・ウォーターを探し出し、ペットボトルを傾けて水洗いをしました。写真は、清掃後の配管口です。


その5 シールテープの巻き付け
次に、新水栓の取付脚部のネジ山にシールテープを巻き付けます。本品購入時に、いっしょに買っておいたものです(税込105円也)。セロテープのような片面粘着テープだと思っていたのですが、ただの薄いビニールテープでした。東急ハンズでもらった作業要領説明書の図が間違っているのではないかと思っていたのですが、これで合点がいきました。ところが、いざ巻き終わってから、送り座(フランジ)を嵌めるのを忘れていたことに気づきました。後から捩じ込もうとしたのですが、シールテープを傷つけてしまいます。防水性が低下すると嫌なので、せっかく巻いたシールテープを全部取り除きます。


その6 取付脚部の位置確認
シールテープの巻き直しは、無駄ではありませんでした。大事な工程を忘れていたからです。取付脚部を何回廻したら締まるのか、新水栓本体を取り付けるための角度合わせのため、どれくらいの位置で仮止めするのか、を確認しておかなければならなかったのです。*1シールテープを巻かない状態で取付脚部を配管口に捩じ込んでいくと、ちょうど10回転しました。位置合わせのためには、12時で止めればよいことがわかりました。*2


その7 シールテープの巻き直し
取付脚部に送り座を嵌めてから、再度シールテープを巻きます。今度は、送り座が干渉して、作業性が著しく悪くなりました。5〜6回巻くことになっているのですが、ネジ部に幅があるため、斜めに巻くことになり、何を以て「1回」と勘定するのか、少々微妙です。あまり回数に拘らず、ネジの谷が埋没しない程度に均等に巻くことに専念しました。しかし、給水側は、失敗して再々度巻き直しになりました。給湯側は、慣れてきたので、きれいに巻けました。慣れた頃に終わり、という皮肉はよくあるものです。


その8 シャワーホースの取り付け
新水栓本体にシャワーホースを取り付けます。本体後部に突き出しているシャワーエルボに、シャワーホース先端のネジをモンキーレンチで捩じ込みます。次女が、シャワーヘッドで止水ができるクリックタイプを所望しているので、後日付け替える際には、ここを外して調圧弁を取り付けることになります。


その9 取付脚部の取り付け
いよいよ、取付脚部を配管口に捩じ込みます。(これは珍しく)予想通り、シールテープの分だけ厚みがあるので、5回転したところでほぼ動かなくなりました。あとは、水栓本体を当てながら、現場合わせで角度調整をしていきます。本体側の取付穴の幅に一致したところで、袋ナットを手で廻し、仮止めした後、モーターレンチで締め上げました。これでようやく完成です。


その10 無事通水
開栓したとき、水道管内に残った空気が暴発しないように、吐水栓を少し開けてから、元栓を開けに行きます。ちょっとどきどきしながら浴室に戻ると、ちゃんと水が流れていました。どこからも漏水していないようです。流量も、所定の15リットル/分(洗面器が15秒で一杯になる)のようです。成功です。

その後、家の中のほかの水栓を順番に開けていきましたが、どこも問題なく水が流れ出しました。再び浴室に戻り、温度調節ハンドルを湯側にいっぱいに廻して回栓したところ、給湯系の配管に空気が残っていたらしく、ぶはっという音とともに湯が噴出して驚きました。


その11 フィルター清掃
同梱されていた業者向けの施工説明書を見ると、「取り付け後に必ずフィルターの掃除をしろ。」と書いてあります。「施工時にそんなに汚れるものかしらん。」と、半信半疑でフィルターを外してみることにします。止水栓とフィルター栓が同軸になっており、まず、内側の止水栓を閉めた後、外側のフィルター栓を外します。この順番を間違えると、海底のUボートになります。金属製のフィルターを取り出してみると、きれいなもので、掃除の必要は全然ありませんでした。今後のフィルター掃除の要領を覚えたという積極的理解をすることにしましょう。


まとめ
混合水栓はおろか、水道器具の施工自体が生まれて初めてのことでしたので、以上のように、右往左往しましたが、何とか自力でやれました。正味の作業時間は1時間弱というところでしょうか。元栓さえ閉めれば、恐れるものは何もないということがよくわかりました。もう、どこからでもかかってきなさい、という気分になっていますが、しょっちゅうやることではないので、次の機会が巡ってくる頃には、また右往左往しそうな予感がします(そのため、将来の自分のための手順書として本エントリを書いた次第です)。

トップの写真は、取り外した後の旧水栓です。不調とは言いつつ、10年以上の長きにわたって稼動してくれたので、その姿を留めることにします。
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*1:シールテープを傷つけないため、取付脚部をいったん捩じ込んだら、逆転してはいけません。「後戻りはできない」のです。

*2:本エントリを書いていて気づいたのですが、左右の取付脚部は、ハの字に固定するので、右の取付脚部は、11時50分あたりで止めなければなりませんでした。写真のように12時で止めているので、5分ほど逆転させたことになります。今さら気づいても後の祭りで、あとは漏水しないことを祈るのみです。