タイトー・スーパーメカニクス「戦艦大和」

新宿での飲み会の帰りに、靖国通り沿いのタイトーステーション新宿東口店にふらふらと入り、ふと目に止まったのは、戦艦「大和」のフィギュアです。これは挑戦するしかないと500円を投入し3プレイを始めたところ、酔いの勢いとは恐ろしいもので、2プレイ目でごろんと落ちてきました。たったの500円でゲットして申し訳ないようですが、素面ではこうはいかないでしょう。*1

帰宅後検分してみると、クレーンゲームの景品ながら、スケールモデルと言ってよい品質です。簡単にレビューしてみます。

  • 全長約35cmなので、縮尺は約1/750です。
  • 舷側のシールド付25mm三連装機銃座が5基ずつあり、2番・3番主砲塔上に増設機銃座があるので、沖縄特攻作戦時の「大和」を再現したことになります。「大和」の最期の姿であり、対空兵装が最も充実しているので、模型化にあたっては妥当な選択と言えるでしょう。
  • 全体のプロポーションがよく、再現と省略のバランス、適度な誇張*2などが絶妙です。
  • 球状艦首(バルバス・バウ)や、艦尾の射出機、水上機回収用クレーン、短艇格納庫等の複雑な構造物など、「大和」らしいポイントをしっかり押さえています。
  • 増設機銃座のうち、25mm三連装機銃は正確に再現されていますが、無数にある13mm二連装・単装機銃は、適度に省略されています。*3
  • 2番・3番主砲塔上の25mm三連装機銃座の防弾板(ブルワーク)は、円形をしています。これまでの通説的解釈に依ったのでしょう。*4
  • 2番主砲塔から1番主砲塔にかけての最上甲板の緩やかな傾斜や錨鎖、揚鎖機などの最上甲板上の付属物もきちんと再現しています。
  • 感心したのは、主砲・副砲の砲身断面が真円に近く、分割線も目立たないことです。ここは、1/700のプラモデルも苦労しているところです。*5これだけ丸ければ、ピンバイスで砲口を開孔すると見栄えがすることでしょう。
  • 注文をつけるとすれば、艦橋をもう少しスリムにし、煙突にもう少し量感をもたせると、なおよかったでしょう。
  • かえすがえすも惜しまれるのは、縮尺が1/750*6という半端スケールであることです。ウォーターライン・シリーズ向けに豊富に出されているディテールアップ・パーツが使えません。

このメーカは、前作の「宇宙戦艦ヤマト」のときもそうでしたが、クレーンゲームの景品という厳しい原価的制約の中で、最大限の品質を実現しようという姿勢が伺えて、好感がもてます。今後も、ぜひ戦艦「武蔵」、空母「信濃」とシリーズ展開してもらいたいものです。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20070307

*1:もっとも、そのまま立ち去るような卑怯な真似はせず、「プッシュ!ヘリコプターONE!」に挑んだところ、あっさり1,500円すってしまいました。結局2,000円で「大和」をゲットした計算になります。これで店も元が取れたことでしょう。

*2:艦首の菊の御紋章や木製最上甲板の筋彫りなど。

*3:本作は、呉海軍工廠で最終艤装工事中の姿を再現したもので、省略された機銃座は未施工のものである、という深読みもできるかもしれません。

*4:大和ミュージアム」の1/10「大和」は、六角形をしています。

*5:このため、金属製砲身のアフターマーケットが発達しているわけです。

*6:フルハルの1/700「大和」のプラモデルは、フジミ製1種だけなので、歓迎されたことと思います。