「マイクロアーマー Series18」のティーガー戦車

呑み会に行く前に、「東京ホビット」新宿店に立ち寄る。久しぶりに訪れたのだが、2階から4階に移転し、面積も半分くらいになっていたので驚いた。

童友社の「マイクロアーマー Series18」が置いてあったので、3箱買う。今回は、第1弾以来のティーガーIだ。珍しいことに、極初期型である。このシリーズは、第14弾のドイツ軍自走砲あたりから品質の向上が目覚しく、第17弾のドイツ軍突撃砲で完成の域に達していた。このティーガーIはどうか。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20061211

開封してみると、第501戦車大隊142号車1輌と第502戦車大隊122号車が2輌だった。122号車が2輌になったのは残念だが、3箱買ったおかげで、142号車が当たったとも言える。

まず、142号車を検分してみる。何より、全体のプロポーションが抜群だ。これまで食玩で登場したティーガーIは、WTM、MA等、どれ一つとして満足できるものはなかったが、その渇を癒して余りある。どの角度から眺めても、ティーガーIのイメージ通りだ。細部を見てみると、

  • 前部フェンダー滑り止めの菱形模様を再現
  • 操縦手用覗視孔の前の防弾壁上部のボルト孔を再現
  • 操縦手用覗視孔の奥の防弾ガラスを塗装表現*1
  • 胴体上部中央の溶接線を再現
  • 胴体左側面、胴体上部の牽引用ワイヤの取り回しも第501重戦車大隊車のパターンを再現
  • 機関室上面のスリットも形状・数とも正確
  • 初期型ファイフェルフィルターの形状を正確に再現
  • 排気管上部の蓋を再現
  • 排気管カバー下部の膨らみを再現
  • 胴体下部のトーションバーを再現
  • 左右非対称の砲塔形状を正確に再現
  • 砲口制退器がきれいに開孔
  • ゲペックガステンの隙間に砲塔吊り下げ用のフックを表現

等々、呆れるほど表現が細かい。これらのいくつかは、ドイツレベルの1/72や田宮模型の1/48のプラモデルでも省略されているほどのディテールである。無論、天才的造型師の手彫りであるわけはなく、CADとスライド金型を駆使した成果である。本作は、1/144食玩戦車の新しい標準を確立したと言ってよい。

敢えてアラ探しをするなら、胴体や砲塔の表現に比べて、駆動輪や誘導輪など足回りの表現がやや粗く、バランスを欠いているとか、車長用キューポラに覗視孔の表現がほしかったとかいった点を指摘することはできる。しかし、本作に比べると、造型・工作・塗装ともに滅茶苦茶と言ってよい過去のすべての1/144ティーガーIと比較すれば、欠点とも言えないような瑣末な話である。

1/144ティーガーIの最高傑作と絶賛する。今後、ぜひ、初期型、中期型、後期型も開発・発売してもらいたいものだ。

*1:映画「プライベート・ライアン」に、米軍兵士がティーガーI戦車の操縦手用覗視孔から車内に小銃を撃ち込むという荒唐無稽な場面があった。映画製作者たちは、ただの隙間だと思っていたのだろう。