「名機の翼コレクション VOL.1」

会社の帰りに新宿のヨドバシカメラに寄ると、エフトイズの「名機の翼コレクション VOL.1」があった。「BIG BIRD VOL.2」をボックス買いして、少々痛い目に遭ったばかりなのだが、これも見過ごせない。1/300という半端スケールながら、YS-11が3種類(シークレットも入れると4種類)ラインナップされているからである。経験則からして、エフトイズの製品であれば、間違いはあるまいと踏んで、1ボックス買う。懲りないことである。

帰宅後開封してみると、内容は、YS-11海上自衛隊第61航空隊、同・航空自衛隊第403飛行隊、同・海上保安庁、同・航空自衛隊飛行点検隊(シークレット)、US-1、C-1・旧塗装が各1機、PS-1、C-1・現行塗装が各2機だった。YS-11のシークレットが当たり、全4種類が揃ったので、よしとしよう。ざっと見た感じでは、いずれも、なかなか精密感のある造型になっており、作るのが楽しみだ。

各機とも、デカールが数種類用意されており、現役機を再現できるようになっている。PS-1/US-1、C-1はあまり問題なさそうだが、バリエーションが結構多いYS-11はどうか。本当に、用意されたデカールを任意に使えるのか。

最も大きな外観上の問題は、製造番号2041以降のYS-11には、各翼の前縁に黒いラバー製の除氷装置がつけられていることだ。今回のシリーズでは、3種類の自衛隊機には、この除氷装置の表現がない。しかし、海上自衛隊の9043・9044号機*1航空自衛隊の02-1158・12-1160号機の4機は、除氷装置を備えた機材なので、各翼の前縁を黒く塗装する必要がある。

最もたちが悪いのは、海上自衛隊の9044号機だ。YS-11の最終製造機である同機*2は、第61航空隊が運用している他の3機のYS-11M/M-Aとは仕様が異なり、機体前部に大型の貨物ドアがある代わり、左側の前から4つの窓と機体後部の貨物ドアがない。当モデルには、前部貨物ドアが再現されていない一方、前から4つの窓と後部貨物ドアが塗装表現されている。よほど塗装に自信にある人でない限り、これらの修正は困難だろう。デカールだけを貼って安直にすませたいのであれば、第61航空隊機は、9041・9042号機のいずれかを選ぶしかない。

運用者 製造番号 登録番号 使用可否 実機の仕様
海自 2033 9041 -
海自 2058 9042 -
海自 2174 9043 翼前縁に除氷装置あり
海自 2182 9044 × 翼前縁に除氷装置あり、機体後部の貨物ドアなし、左側前から4つの窓なし
空自 2008 52-1151 -
空自 2009 52-1152 -
空自 2018 62-1153 -
空自 2019 62-1154 -
空自 2150 02-1158 翼前縁に除氷装置あり
空自 2159 12-1160 翼前縁に除氷装置あり
海保 2167 JA8782 機体後部にバブルウィンドウあり
海保 2175 JA8702 同上+非常口より後部の窓なし
海保 2177 JA8791 同上

*1:9042号機は、旧型と改良型が混在した時期の製造なので、製造番号は2058だが、除氷装置はない。ちなみに、9042号機はYS-11-100型の最終製造機である。

*2:製造番号182は、YS-11の製造機数を示している。