「世界の航空機コレクション」その8

「世界の航空機コレクション」もあと3機。完全に消化試合だ。

今日は、B-307「ストラトライナー」である。これは、ボーイングがB-17爆撃機主翼、水平安定板、垂直尾翼、エンジン等を流用して作った旅客機だ。当機の試作2号機から取り付けられるようになった垂直尾翼の長い延長前縁*1は、E型以降のB-17爆撃機にも採用されているので、見覚えのある方も多いだろう。

このフィギュアは、今は亡きトランス・ワールド航空が採用したB-307の派生型SA-307Bの2号機である。当初、NX19906の登録番号が付与されていたが、TWAが1940年に全米デモ飛行を行った際、NX1940に改められた。実機写真を見ると、左翼下面の登録番号の末尾に6がうっすら残っているのが認められる。このフィギュアでは、さすがにそこまでは再現されていない。

当機も全体の造型はよい。しかし、無塗装のベアメタルを表現するのに、銀色のベタ塗りは少々さみしい。やはり、パネル表現がほしくなるところだ。マーキングも、実機写真と見比べると、位置が若干不正確だ。機種の下からナマズのヒゲのように突き出しているアンテナは、明らかにオーバースケールだ。私の個体に固有の問題だとは思うが、製作中に何かにぶつけたのか、鼻先が少し潰れている。また、胴体上部に塗装の剥げがあったり、ところどころに筆ムラがあったりする。

B-307は、全部で10機製造された。そのうち、最終号機NX19903がスミソニアンの宇宙航空博物館に保存されているほかは、4号機のNC19904*2がボートハウスに改造されて、フロリダ州に現存するのみである。旅客運航に従事した8機のB-307のうち、5機が墜落・撃墜で失われたという。

*1:試作1号機が試験飛行中に墜落し、乗員8名全員死亡という悲惨な事故を起こしたことの教訓による。

*2:ハワード・ヒューズが自家用機にしていた機材である。