「世界の航空機コレクション」その3

今日は、上記シリーズから飛行艇DoXを紹介する。全長40m、全幅48mと、1927年の就航当時、世界最大を誇った旅客用飛行艇*1。船に翼を付けたのではないかと思うような胴体形状、主翼上にずらりと6組12基並んだ発動機。ドイツ人の誇大妄想を具現化したような異形の巨人機である。

このD-1929は、3艇建造されたDoXの1号艇である。1930年11月から1932年5月にかけて、北大西洋一周の展示飛行を敢行している。ルフトハンザ航空が受領した後、1933年にヴィーン発ブダペスト経由イスタンブール行きの飛行が計画されたが、9日目に事故によって中断。改修後、翌1934年6月にベルリンの航空博物館行きとなった。しかし、1943年11月23-24日のイギリス空軍によるベルリン空襲で博物館もろとも破壊されてしまったという。

フィギュア化されているD-1929は、Fw200 S1に匹敵する出来である。機首から底部にかけての船のような曲線、胴体側面や上部の凸状のライン、6組のエンジン、複雑な形状の尾翼、そして機首のループアンテナまで、克明に再現している。銀色の塗装も美しい。惜しまれるのは、1/350という縮尺では、この巨人機の大きさを十分実感できないことだ。

*1:第2次世界大戦中最大の爆撃機B-29(全長30.2m、全幅43.1m)よりも一回り大きい。