「世界の航空機コレクション」その2

今日は、上記シリーズからFw200 S-1「コンドル」の紹介である。当初、民間旅客機として設計・製造され、第2次世界大戦が始まると、ドイツ空軍の数少ない4発爆撃機*1の一つとして転用される。爆撃機型のFw200は、機体の強度不足から、主翼がもげたり、胴体が真っ二つに折れたり、というとんでもない事故が多発したようだ。

フィギュア化されているD-ACON「ブランデンブルク」は、Fw200の試作1号機である*2。1938年8月11日にベルリン・ニューヨーク間24時間36分、同8月12日にニューヨーク・ベルリン間10時間55分、同11月30日にベルリン・東京(立川)間46時間*3という世界記録を連続して樹立している。しかし、栄光の日は続かず、帰途の同12月6日、マニラ沖に不時着水し、遺棄されることになったという*4

本フィギュアは、私が引き当てた10機の中では最も出来がよい。D-ACONの実機写真と図面から取材したらしく、形状・塗装ともに正確である。Ju52/3mのように複雑な操縦室風防枠をちゃんと塗装で再現しているほか、各種マーキングの位置も正しい。機体上部と下部のアンテナ支柱も、ややオーバースケールながら再現し、いいアクセントになっている。日本にも飛来した栄光と悲劇の機材を見事に再現していると言えるだろう。

*1:ドイツ空軍が運用した4発爆撃機は、Fw200のほかには、外観上双発に見えるHe177、輸送機の派生型Ju290B、大戦末期に登場したジェット爆撃機Ar234C等、数えるほどしかない。

*2:1937年7月の就航時には、型式Fw200 V1、登録番号D-ABRE、愛称「ザールラント」だった。

*3:バスラ、カラチ、ハノイで給油しており、滞空時間は42時間18分。

*4:ディアゴスティーニ「週刊ワールド・エアクラフト」FILE488に不時着水したD-ACONの写真が掲載されている。