「絆の翼」読了

岡田晴彦「絆の翼」(ダイヤモンド社)を読了した。全日空のサービス品質を主題にしたノンフィクションだが、つまらない本だった。全部で9つのエピソードが紹介されているものの、いずれもありきたりな美談か、仕事なんだから当然、としか思えないような話ばかりだ。これは、全日空のサービス品質管理がその程度なのではなく、著者の取材力・分析力・筆力の限界によるものだろう。当然、全日空は企画・取材に全面的に協力したのだろうが、あまりいい宣伝にはなるまい。

救いは、「麻田フライト」に用いられた1953年塗装のDC-3C(JA5027*1)、客室乗務員の制服の変遷、確認主任者の赤い「MASTER」ワッペンなどの珍しい写真が掲載されていることだ。
絆の翼―チームだから強い、ANAのスゴさの秘密

カバーに印刷されているB747-481/481Dの機材を特定できるか。前部降着装置格納扉の登録番号がぎりぎり写っていない。乏しい手がかりは、(i)ANAロゴ、(ii)L1ドアの前の窓の数が13、(iii)2階後方の窓の数が8、くらいだが、これらをすべて満たすのは、JA403A・404A・405Aの「シカゴスタイル」3姉妹だけだ。と思っていたら、本体扉の裏側に格納扉の写真が回り込んでいて、辛うじて「40X」と読める。やはり、3姉妹のいずれかのようだ。それ以上の決め手はないから、2005年8月13日に長崎から羽田まで搭乗したJA405Aと勝手に思うことにしよう。写真は、長崎空港で撮影したJA405Aである。表紙の写真とはほぼ鏡像になる。
http://d.hatena.ne.jp/Wilm/20050813

*1:1956年10月5日登録・1970年5月1日抹消。日本の航空会社が運用したDC-3の中では最も長く運用された機材だ。