「プリズンの満月」読了

吉村昭の「プリズンの満月」を読了した。「ABC級戦犯」が収容されていた巣鴨プリズンの実態を刑務官の目から描いた小説である。これを読めば、日本は多くの「戦犯」の生命・身体の自由*1を以って十分に戦争犯罪を贖罪したことが実感できる。涙なくして読めない逸話も登場する。我々が遠い忘却の彼方に置き忘れた「戦犯」たちの記憶を繋ぎ留める良書だと思う。
プリズンの満月 (新潮文庫)

*1:「A級」7名・「BC級」1,009名の「戦犯」容疑者に死刑判決が下され、そのうち「A級」7名・「BC級」907名が執行された(田中宏巳「BC級戦犯」137頁ほか)。