「男たちの大和」読了

辺見じゅん「決定版・男たちの大和」を読了した。映画「男たちの大和」の原作である。戦艦「大和」の生存者に直接取材し、その証言をもとに、「大和」の建艦から沈没、生存者の戦後までを描いた戦記である。特に、沖縄特攻作戦から戦後にかけての描写は、胸を打つ。「大和」の沈没で終わらせることなく、生存者たちの戦後を丹念に追うことで、「大和」の物語を神話に留めまいとする筆者の姿勢が窺える。生存者たちに大なり小なり共通する「自分は、生き残りではなく、死に損ないだ。」という心理には、察して余りあるものがあった。
決定版 男たちの大和〈上〉 (ハルキ文庫) 決定版 男たちの大和〈下〉 (ハルキ文庫)